クラウドファンディングに挑戦しています。

迅技術経営の西井です。

私が運営側としてご縁をいただいているNPOバンクのピースバンクいしかわが現在クラウドファンディングに取り組んでおります。

そのクラウドファンディングでのレポートにも記載していることを弊社の社員ブログでも紹介させていただければと思っております。

私自身は、ピースバンクいしかわの代表理事である小浦むつみさんからお誘いをいただき、理事として携わっております。。

現在普段の仕事で培った自分の知識や経験が、役に立つのではないかと期待し、この活動を始めました。

普段の事業活動(迅技術経営)の中では、この人(経営者)の思いを一歩でも前に進めたいという思いも当然にありますが、どうしても経済合理的に正しいかどうかという視点で物事を判断してしまっています。

一方で、ピースバンクいしかわの活動をしていると、経済合理的な面も当然にあるのですが、まず思いに共感できるかどうか、これを第一に考えて行動しております。

思いへの共感を第一とすることができる。これがピースバンクいしかわの活動をしてよかったと思うことの1つです。

1つ具体例を挙げると、

小松能美農業青年グループの宮本健一さんから平成30年の大雪により700棟を超えるビニールハウスが倒壊し、青年グループで何とかしたい。このままだとこの地域の高齢層離農が増えて、地域の農業が立ち行かなくなる。クラウドファンディングという手段を使って何とかその流れを少しでも止めたい。という相談をいただきました。

ご相談をいただいている中で、ハウスを撤去するための費用をクラウドファンディングで集めようとすると、膨大な金額(700棟以上の撤去費用)を集めなければいけないことが判明しました。その中で、その熱い思いと今抱えている課題を解決するプランも一緒に考え、結果としてハウスを解体するための道具を購入して地域のJAに寄付するプランにたどり着きました。

クラウドファンディングで支援をいただくための基本的な準備に関しても、小松能美農業青年グループの仲間で役割分担をされたり、地域のJAとの協力を得たり、準備段階からクラウドファンディング達成まで、まさしく地域の農業を盛り上げたいという思いが1つの形になった活動でした。

クラウドファンディングは、お金を集めるための手段ではあります。しかしこの支援を通じて私自身が感じたことは、クラウドファンディングは、思いという見えにくいものを見えやすくする(お金での支援やSNSでシェアなど)手段の1つであることを実感いたしました。

ピースバンクいしかわのクラウドファンディングもそんなきっかけになればいいそう思っていますので、活動を継続していきたいと思います。

現在ピースバンクいしかわでは、クラウドファンディングに挑戦しています。

https://faavo.jp/kanazawa/project/3661

お金という支援も有難いですが、SNSでのシェアもとてもありがたいです。

ぜひご支援をいただけると幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

 

迅技術経営が27歳以下を新卒既卒と定義している理由

迅技術経営の西井克己です。

本日は、弊社が27歳以下の方を新卒既卒と定義している背景について記事にしてみたいと思います。

(2019年に26歳→27歳に変更しました。理由は大学院博士後期課程までは新卒と言う解釈のためです)

1 どんな人をターゲットにしているか

ターゲットしている方は、現在の流れに任せるままに活動をしていく就職活動に対して疑問に思っている方としております。

 

2 新卒採用の選考プロセスは中途採用と同じ

会社にとっての採用と学生にとっての就職は、双方にとって相性が大事です。自分(学生)の考えで答えるのではなく、相手(会社)に期待されている回答をして、無難に対応すれば内定がもらえる。弊社はそんな就職活動に疑問を感じています。
卒業する前に就職を決めなくてはいけない。周りを見ると内定をたくさんもらっているからとりあえず就職する。そんなことをしてきてもらっても弊社は逆に困ってしまいます。
自分の納得するまで会社を調べ、どこが気に入ったのか、どんな希望をもって入社するのか、会社はその思いにこたえられるのか?新卒も中途採用もそれは本質的には変わりません。

3選考基準は、新卒も中途も変わらずその人の夢や思いが資格や弊社を活用することでそれに近づけるかどうか?

弊社は26歳までは新卒・既卒者として対応し、且つ選考プロセスは、新卒既卒は資格不問・中途は中小企業診断士1次試験合格を条件としている以外は、変えておりません。最低3回の面談を経て、この方の思いや願いは会社を使っていった方が、思いや願いに近づけるのか?を第一に考えて面談しております(会社は社員の夢や希望を応援する立場であって、あきらめさせる立場ではないと考えております)。

4独立前提の入社はご遠慮いただいています

ただし、入社される方には、1点だけお約束をいただいております。それは、士業として独立前提での入社はしないということです。未経験として入社して、士業として活躍できるようになったら、ぜひ独立ではなく、次の未経験者を育てる立場になってほしい。そんな循環を会社で作りたいと考えているためです。

中小企業診断士を目指す方で、中小企業診断士という手段を使って人生をどのように豊かにしていくのかイキイキと語れる方とのご縁をいただきたいそう考えています。

 

補助金・助成金の有効な活用方法

こんにちは。北陸を中心に中小企業経営のお手伝いを

させていただいている迅技術経営です。

 

さて、年度が新しくなってはや2週間が経ち、

少しずつ新しい環境にも慣れてきたのではないでしょうか。

 

中小企業関連の施策でいいますと、通常4~5月という時期は

予算的な端境期であり、また皆さん新たな体制に慣れる/慣らす期間ということで

我々自身もそれほど活発に動くというわけではありませんでした。

 

しかし、5年ほど前からものづくり補助金(通称)や持続化補助金(通称)といった

中小企業・小規模事業者向けの施策が開始したころから、

年度末から年度明け(GW頃まで)は、補正予算での公募期間と重なることが多くなりました。

今もものづくり補助金(5月8日締切)の申請書作成をされている方も

多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

さて、ここからが本題なのですが、補助金申請の支援に入らせていただく中で

企業の方々によくお伝えさせていただくことがあります。

それは、「あくまで補助金・助成金は手段である」ということです。

続きを読む 補助金・助成金の有効な活用方法

賛呑会(15回目)

こんにちは。北陸を中心に中小企業経営のお手伝いをしている迅技術経営です。

 

今日は、もうここでも何回もご紹介している「賛呑会」についてです。

まじめな飲み会である「賛呑会」は、株式会社そだてる(大阪市)の社長で

中小企業診断士の小畑秀之さんに教えていただいた仕組みで、

弊社では2017年9月から実践しております。

 

先日、佐々木、高稲、森の3名で実施いたしました。

真面目な飲み会なので、酔っぱらうとどんないいことを言っていても忘れてしまったり、

話が脱線しないようにルールが決められています。

そのルールを以下に示します。

ルール1 スタッフ2人と経営層の3人で呑む(スタッフ2人は異なるペアで)

ルール2 賛=ほめる、たたえる、助け合う場であることを徹底

ルール3 本題から脱線しないよう、ノートに書いたテーマを見ながら話す

ルール4 意見コメントは、付箋に書いてノートに張り出す

以上の4点です。

15回目となる先日の賛呑会のテーマは、ズバリ

「賛呑会で話し合うべきこと」

でした。なんだかメタなテーマですが、弊社での賛呑会も

今回で15回目に達したことから、改めてテーマアップしてみようということです。

成長、連携、システム、ツール…方向性はなんとなく似通っているのですが、

細部はやはりそれぞれの考え方が色濃く出ていたように思います。

このブログをご覧の皆様の会社でも、まじめな飲み会「賛呑会」を

実施してみませんか?

あくまで個人的な感想になりますが、賛呑会の場ではお酒が入ることによる

くだけた雰囲気と会社の現在過去未来を話し合う真剣さが絶妙に

混じり合う、という点がとても良い部分だと思います。

 

皆さんの会社でもぜひ実施してみませんか?

オリジナルルールや賛呑会について詳しく知りたい方は、

小畑秀之さんのブログをご覧ください。

賛呑会十四回目

迅技術経営の西井克己です。

株式会社そだてる(大阪市)の社長で中小企業診断士の小畑秀之さんに教えていただいた、まじめな飲み会(賛呑会)を2017年9月から弊社で実践しています。

先月は十四回目で佐々木、小松、高稲で行いました。

まじめな飲みニケーションの賛呑会は、社員と経営者が3人で飲みながら話し合う場なのですが、今回は経営者を除いて行いました。

真面目な飲み会なので、酔っぱらうとどんないいことを言っていても忘れてしまったり、話が脱線しないようにルールが決められています。

そのルールを以下に示します。

ルール1 スタッフ2人と経営層の3人で呑む(スタッフ2人は異なるペアで)

ルール2 賛=ほめる、たたえる、助け合う場であることを徹底

ルール3 本題から脱線しないよう、ノートに書いたテーマを見ながら話す

ルール4 意見コメントは、付箋に書いてノートに張り出す

というものです。

今回のテーマは、感謝したことでした

皆さんの会社でも賛呑会してみませんか?

いい気づきがあるかも知れません。

 

オリジナルルールや賛呑会について詳しく知りたい方は、小畑秀之さんのブログをご覧ください。

JAPANブランド育成支援事業の公募のご紹介

こんにちは。石川県で中小企業経営のお手伝いをさせて頂いている迅技術経営です。

本日は、中小企業庁の平成31年度予算事業「国内・海外販路開拓強化支援事業(JAPANブランド育成支援事業)」の公募についてお知らせいたします。公募期間は3月18日(月)までとなっております。

〇概要

本事業は、複数の中小企業等が連携して、優れた素材や技術等を活かし、その魅力をさらに高め、世界に通用するブランド力の確立を目指す取組みに要する経費の一部を補助することにより、地域中小企業の海外でのブランド確立を図るとともに、地域経済の活性化及び地域中小企業の振興に寄与することを目的としています。

〇対象者

中小企業(4者以上※)、商工会、商工会議所、組合、NPO法人 等
※中小企業が申請する場合は、4者以上の連携が必須。連携先は、中小企業のほか商工会、商工会議所、組合、NPO法人でも可。

〇補助事業内容

①戦略策定支援事業
地域中小企業が海外でのブランド確立を図るため、優れた素材や技術等を活かした製品の魅力を高め、海外のマーケットで通用するブランド力を確立する目的で、参画する中小企業等の共通認識を醸成し、自らの現状を分析し、明確なブランドコンセプトと基本戦略を策定するものであること。
②ブランド確立支援事業
地域中小企業が海外でのブランド確立を図るため、優れた素材や技術等を活かした製品の魅力を高め、海外のマーケットで通用するブランド力を確立するために必要な試作品開発や展示会出展などを行うものであること。

〇公募期間

平成31年2月18日(月)~平成31年3月18日(月)
9:30~12:00、13:30~17:00(土日・祝日を除く)
(郵送の場合は、受付最終日の17:00までに必着のこと)

なお、詳細は下記ページをご確認ください。

http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/chiiki/japan_brand/2019/190218Jbrand-koubo.htm

宜しければ弊社 迅技術経営のHPもご覧ください。

「見えざる資産」の力

こんにちは。

石川県で中小企業経営のお手伝いをしている、迅技術経営です。

 

今日の日本経済新聞電子版に興味深い記事がありましたので、

紹介したいと思います。

 

見えざる資産、成長の源に 有形資産の1.5倍

一部、記事の内容を引用します。

~~~引用開始~~~

18年にノーベル経済学賞を受賞した米経済学者のポール・ローマー氏は知識やアイデアが価値を膨らませる「収穫逓増」を唱えた。こうした形のない資産はすでに富の源泉の主役だ。

米国、中国、日本の主要302社が持つ特許権やソフトウエアなど無形資産の規模は07年、機械など有形資産を上回り、17年には4兆ドル(約440兆円)と有形資産の1.5倍だ。

(中略)

成長の時代は終わったのか。インターネットには検索やSNS(交流サイト)など無料サービスがあふれる。

米調査会社コンファレンス・ボードのキャロル・コラード氏らは17年の米国のGDPで無形資産への投資が12%を占めたのに、うち6割は公式統計が把握していないとみる。値段のない豊かさはGDPという尺度では測りきれない。

~~~引用終了~~~

 

ここでは大企業が持つ無形資産についてしか触れられていませんが、

中小企業でもまったく同じことがいえると思います。

むしろ、経営資源が限られている中小企業では、よりそれ以外の部分での競争力を

いかに持ち、強化していくかが重要といえます。

 

弊社ではよく事業計画書の作成方法についてのセミナーを

小規模事業者様を対象にさせていただきます。

その際、その会社の強みについて考えていただき、

今後の方向性も含めて発表していただくことがあるのですが、

「弱点(弱み)ならたくさんあるけど、強みはよくわからない/あまり出てこない…」

という声を少なからず聞きます。

 

しかし、お客様目線に立つと、本当になんの特徴もない企業と

取引を継続したいと思うでしょうか?

今まで経営を続けてこられたということは、必ずどこかでお客様に

何かの価値を提供しているはずです。

セミナーでは個々の企業様のことを深く掘り下げることは難しいですが、

1対1でお話を伺うと、経営者の方々でも無意識のうちに(当たり前と思いながら)様々な価値を提供しているなぁと常々感じます。

 

当たり前と思いながらやっていることが多いので、

わざわざ言葉にしなくても…と思われるかもしれませんが、

言語化して従業員の方々と共有したり、取引先の方々とのお話の中でアピールしたり、

いろいろな場面で使えることが多いので、ぜひ一度ご検討してみてはいかがでしょうか?

経営者が思うその会社の見え方・見せ方と、周りの方々からの

見え方は結構一致していないことが多いので、そうした部分の

目線合わせをする意味でも、とっても有意義だと思います。

 

弊社ではそうした目に見えない資産(=知的資産)の見える化と

それを踏まえた経営力の向上の支援も行っております。

ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

support@g-keiei.com

(アットマークを半角にしてお送りください)

社内事例発表会(はやてフォーラム)

迅技術経営の西井克己です。

本日は、四半期に一度の社内事例発表会(はやてフォーラム)を開催しました。

○はやてフォーラムとは

社内事例発表会は、毎年8月に、大阪のそだてるさん、東京の大幸経営さん、そして弊社で合同事例発表会を行っている「そだてるフォーラム」の活動を社内でも継続して行おうと取り組んでいるものです(そだてるフォーラムの様子は、以下のブログをご覧いただけると幸いです)。

中小企業診断士のメリットは?

昨年8月のそだてるフォーラム以降は社員だけではなく士業以外の従業員にもオブザーバーとして参加いただいています(弊社は士業以外の従業員も中小企業診断士を目指して勉強されています。しかし、現状は士業のように外に出ることがありませんので、士業が何をしているか見えにくい状況です。そのため、士業がどんなことをやっているのか感じてもらうため、金沢で開催されたそだてるフォーラムに参加いただいたところ好評だったので、継続して事例発表を聞いていただいています)。

○発表要旨は統一

社内発表会なので、発表向けの資料は特別に用意していないのですが、発表要旨だけは、統一したフォーマットで作っています。あとから比較できるようにデータベースソフト(ファイルメーカー)で作成しています。

○今回の発表順

9:20~45 佐々木
9:45-10:15 高稲
10:20-10:50
10:50-11:20 西井
11:20-11:45 小松
みんなで振り返り(1人1分間発表)

ちなみに発表順は、ルーレットで決めています。

サッカーボールが水平方向にくるくると回って止まります。

○西井個人の感想

今回の事例発表はいずれの発表も、弊社のコンサルツールをそのまま使うのではなく、使う人やお客様の状況に応じてカスタマイズして使っているものでありました。

一から作るのは大変ですが、今あるものを土台にして自分に使いやすくお客様にも合わせて作りこんでいく。これが弊社の強みであるので、それぞれが弊社の強みを活用しているいい事例でした。

佐々木の感想にもありましたが、佐々木以外の3名の士業は、私と佐々木が歩んでいる道をそのまま歩んでいる。事例を聞いてみてそう感じました。

そう思うと本当は、事例を聞くだけでもいいのですが、今回もついつい自分だったらこうする。というような余計な一言が私自身は多かったように思います。

次回のはやてフォーラムは5月を予定しています。

毎日1つ1つ積み上げていくことも大事ですが、どこかで振り返る。

立ち止まってまとめていく。そして仲間に聞いてもらって意見をもらう。

それができるのも弊社ならではと思って続けていきたいと思います。

そだてるフォーラムは8月なので今からどの事例を発表するか考えておきたいと思います。

宜しければ弊社 迅技術経営のHPもご覧ください。

「伝統的工芸品産業支援補助金」の公募のお知らせ

こんにちは。石川県で中小企業経営のお手伝いをさせて頂いている迅技術経営です。

経済産業省による平成31年度「伝統的工芸品産業支援補助金」の公募が始まっておりますのでご紹介いたします。公募期間は2019年1月8日から2月13日までとなっております。

〇概要

本補助金制度は、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下、伝産法)」の規定に基づき経済産業大臣が指定した工芸品の組合、団体及び事業者等が実施する事業の一部を国が補助することにより、伝統的工芸品産業の振興を図ることを目的としています。

各産地における伝統的工芸品の原材料確保対策事業、若手後継者の創出育成事業のほか、観光業など異分野や他産地との連携事業、国内外の大消費地等での需要開拓などに対して支援を行います。

〇補助対象事業・補助対象者

補助対象となるのは、次の(1)~(5)のいずれかに該当する事業です。補助対象者は、事業により異なりますが、伝産法に基づき各種計画の認定を受けた組合、団体及び事業者等です。詳しくは、公募要領をご覧下さい。

(1)振興計画(伝産法第4条)に基づく事業

後継者育成、技術・技法の記録収集・保存事業等

(2)共同振興計画(伝産法第7条)に基づく事業

需要開拓等共同展開事業、新商品共同開発事業

(3)活性化計画(伝産法第9条)に基づく事業

活性化事業

(4)連携活性化計画(伝産法第11条)に基づく事業

連携活性化事業

(5)支援計画(伝産法第13条)に基づく事業

人材育成・交流支援事業、産地プロデューサー事業

なお、詳細は下記ページをご確認ください。http://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2019/k190108001.html

宜しければ弊社 迅技術経営のHPもご覧ください。

「働き方改革」は「働きがい」を高めるのか

みなさま、こんにちは。迅技術経営の高稲です。

2018年6月に参院本議会で可決・成立した「働き方改革関連法案(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)」が、今年4月から施行されます。
同法は、雇用対策法、労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法、労働者派遣法等の「働き方」に関連する法律の改正を行うものとなっています。
代表的な改正として、労働時間に関する上限規制と罰則の導入勤務間インターバル制度のガイドライン設定同一労働同一賃金の義務化、などが挙げられます。

「働き方改革」の背景と目的

ここ数年、「働き方改革」は一種ブームとなり、関連する記事が毎日のように報道されるようになりました。
「働き方改革」の必要性については、日本の「労働生産性」の低さが根拠として挙げられる傾向にあります。
「労働生産性」とは、労働投入に対して、どのくらいの成果を生み出せたか(産出量)を測る指標です。
ここでいう労働投入は、労働者の数労働者が費やした時間が該当します。
産出量には、生産量販売額付加価値額などがあてはまるでしょう。
インプットに対してどれくらいのアウトプットがあったかを割り出し、少ないインプットで多くのアウトプットがあるのが理想とされています。

日本の時間当たり労働生産性は47.5ドルで、OECD加盟36カ国中20位という統計になっています。
OECDデータに基づく2017年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、47.5ドル(4,733円/購買力平価換算)で、主要先進7カ国でみると、1970年以降、最下位の状況が続いているようです。
【出典:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較」】
https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2018.pdf

しかしながら、「働き方改革」の議論においては、労働投入をこれまでより抑えつつ、これまで通り、あるいはそれ以上の産出量を実現するということよりも、特に長時間労働の是正やワークライフバランスの実現のみに主眼が置かれているように感じられます。
少子高齢化による生産年齢人口の減少が続く日本において、年齢や性別を問わず「働こう」という意欲のある人を取り込み所得や税収を増やすための政策としては、その必要性は理解できるものでもあります。

「働き方改革」で見落とされている「働きがい」

労働生産性に低さを根拠に「働きやすさ」を追求し始めた日本ですが、実は「働きがい」の指標も他の先進国の後塵を拝しているようです。
世界中で「働きがいのある会社」の調査・分析をしているGreat Place To Work(GPTW)のデータでは、日本企業は「働きがい」という点において世界標準からはかなり立ち後れていることがわかります。
【出典:Great Place To Work “2018 World’s Best Multinational Workplaces”】http://www.greatplacetowork.net/best-companies/worlds-best-multinationals/the-list
※英語サイト

GPTWの調査・分析は大企業に関してのデータですが、中小企業においては尚のこと「働きがい」が実現されているところは少ないのではないかと思います。
先日支援先の経営者の方のお話で印象的なものがありました。

「働き方改革が広がった頃から、権利ばかりを主張し成果への関心が低下する従業員が出始めた」というエピソードです。

このように、せっかく「働き方改革」に取り組んだのに、実際には、従業員の「働きがい」が一向に上がっていないということがままあることは危惧すべき事実です。

そこで、我が国の中小企業が、「働きやすさ」だけでなく「働きがい」を両立するにはどうしたらいいのか、理論的な視点を踏まえ考えてみることにします。

満足と不満足は表裏一体ではない!?

米国の心理学者F.ハーズバーグは、職場で従業員の不満足につながる要因(衛生要因)と、満足度を上げる要因(動機付け要因)が表裏一体ではなく別物であるとした「二要因理論」を提唱しました。

人間には2種類の欲求があり、「苦痛を避けようとする動物的な欲求」と、「心理的に成長しようとする人間的欲求」という別々の欲求があるとし、「二要因理論」はこの考え方を元にしています。

「二要因理論」では、職場における満足・不満足に関わる要因を「衛生要因」「動機付け要因」に分け説明しています。

「衛生要因」は、会社の方針と管理、監督、身分、作業環境、安全、給与などを指し、これは「働きやすさ」と関係するものと言えます。
一方、「動機付け要因」は、仕事そのもの、達成、承認、責任、成長の可能性などで、「働きがい」と関係するものになります。
そして、ハーズバーグの理論によると、衛生要因をいくら整えても、不満足の解消になるだけで、満足度向上にはあまりつながらないとされています。
つまり、「苦痛を避けようとする動物的な欲求」をいかに充足しても、人間は不満足感が減少するだけで積極的な満足感を増加させることはないということ。

 

 

こうして考えてみると、現在進められている「働き方改革」の多くは、ハーズバーグの言う「衛生要因」ばかりに焦点が当てられ、「動機付け要因」の観点からの改革が欠けているとも言えますね。

「働きがい」や「動機付け」のために会社ができることは?

「働き方改革」が「衛生要因」にしか効かないとなると、「働き甲斐」の源泉である「動機づけ要因」を刺激するにはどのような考え方が有効なのでしょうか。

「動機づけ要因」に特化したモチベーション研究として、心理学者のハックマンと、経営学者のオルダムによって発表された「職務特性モデル」があります。

モデルを簡単に説明すると、5つの職務特性が、従業員に3つの心理状態を生み出し、その結果が成果やモチベーションに影響するというものです。
それぞれの項目を少し細かく見ていきます。

<5つの職務特性について>
5つの項目を平たく説明すると以下のようになります。

①技能多様性

その仕事を行うにあたって、どの程度多様な知識や技能を必要とするか、という視点です。
単純で工夫のしようがない作業を繰り返すことに苦痛を感じられたことがあるのではないでしょうか。
必要となる知識や技能の幅が広いほど、従業員にとっての仕事の有意義感が高まり、やる気を発揮できるとされています。

②タスク完結性

仕事の最初から最後まで一貫性を持って関われるか、という視点です。
例えば、見込み顧客に電話でアポイントを取る仕事を想像してみます。
電話をかけ、アポイントを取っただけで成果が現れるわけではなく、実際に商談し、提案・プレゼンを実施、顧客からの要望を調整し受注した後、製品やサービスを提供して初めて成果と言えます。
こうして仕事の「始まり」から「完結」までの流れ全てに関わることができれば、単調な仕事にも意味を感じられるようになります。

③タスク重要性

その仕事が他人の生活や仕事に重大な影響をもたらすかどうかという視点です。
電話でアポイントを取ることは、新規顧客への営業の第一ステップとしてとても重要な仕事です。
しかし、職場の上長や他部署から「テレアポは誰にでもできる単純な仕事だ」と見下されていたらどうでしょうか。
逆に「テレアポ部隊のおかげで売上が確保できている」と重要視されていたらどうでしょうか。
自分が「重要な仕事をしている」と思えた時、自己重要感が満たされ、モチベーションが高まります。

④自律性

仕事のやり方の自由度や、裁量がどの程度与えられているか、という視点です。
自分のやり方で仕事を進められ、上司から細かく指図されないという、任せられている状態は責任感と主体性を生み出し、やる気を引き出します

⑤フィードバック

仕事の進捗や成果が、直接的で、明確な反応としてもたらされるか、という視点です。
自分が行った仕事に対して「手ごたえ」を確認できることはモチベーションの向上に直結します。
上司の評価、お客様からの感謝、営業成績等、自分の仕事に対して何らかの結論や評価、反響を知ることが大切です。
工程で生産した部品や上司に提出した書類が、「どういった使われ方をして、どう役に立ったのか」がわからないと、不安や虚しさが募り、やる気を失います。
逆にフィードバックがあると、仕事が成功したのであれば達成感が高まりますし、失敗したとわかれば反省し次の行動を喚起するなど、仕事に対する能力を向上させる動機が高まります。

その他、従業員個人の知識・技能レベルや、成長欲求の高さ、職場環境への満足度等のような「調整要因(個人差)」がモチベーションの高低に関わることとなります。

お感じになっている通り、会社が従業員のモチベーションの全てをコントロールすることはできない、という説明になります。

 

「職務特性モデル」を簡単に説明しましたが、ここで特に重要なのが「それぞれの要素の掛け算」がモチベーションの数値となるという点です。

5つの特性の組み合わせにより「働きがい」の度合いに差が出ることはもちろん、掛け算の対象のどれかが「0」になると、モチベーションが0になることを示唆しています。

(参考文献:桑田耕太郎=田尾雅夫「組織論」有斐閣アルマ1998年)

みなさまの職場では「職務特性モデル」の5項目はどうなっているでしょうか。
「従業員がやる気を出してくれない」と嘆く(調整要因のせいにする)前に、従業員の方にお任せしている職務の設計やフィードバックの在り方を見直してみるのもいいかもしれません。


迅技術経営では、働きやすく働きがいがある職場づくりのお手伝いをしています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
http://www.g-keiei.com/