理念は対話の中で少しずつ浸透していく

経営理念を掲げても、社員に浸透しない。

これは多くの会社で起きていることです。

掲げたはいいものの、現場では日々の業務に追われ
理念が使われる場面はほとんどない。

気づけば、「あるけれど、使われていない言葉」になってしまう。

ですが、ここで前提として理解しておくべきことがあります。

経営理念は、すぐには浸透しないものだということです。

理念は「一方的に伝えるもの」ではなく「すり合わせていくもの」

理念は社員一人ひとりの判断基準や行動の拠り所になるものです。

つまり、価値観に関わるものです。

価値観は、説明されたからといって変わるものではありません。

だからこそ、一方的に伝えるだけでは浸透しない。

必要なのは、価値観や理念についての対話です

対話がないと「分かったつもり」で終わる

例えば「挑戦」という言葉一つでも、人によって意味は違います。

失敗を恐れず行動することなのか
新しいことに手を出すことなのか
現状を変えようとすることなのか

解釈はバラバラです。

対話がなければ、それぞれが自分なりの解釈のまま動くことになります。

結果として、理念はあるのに、行動がバラバラになる。

これが、浸透していない状態です。

対話によって「自分の言葉」になる

対話の目的は、正解を教えることではありません。

理念を「自分の言葉」で語れる状態にすることです。

・あなたにとってこの理念はどういう意味か
・仕事の中でどう体現するか
・最近の行動で理念に沿っていたものは何か

こうした問いを重ねていくことで、
理念は「会社の言葉」から「自分の言葉」へと変わっていきます。

継続している企業で起きている変化

価値観や理念についての対話は、すぐに結果が出るものではありません。

ですが、1年以上対話を継続している企業では、
社員が少しずつ理念を「自分の言葉」で語り
日々の判断の中で使い始めるという変化が起きています。

そしてその変化を、私自身、先輩士業と同行した現場で目にしました。

言葉として掲げられていた理念が、
現場での判断や会話の中で自然と使われている。

浸透とはこういうことか、と実感した瞬間でした。

浸透とは「言えること」ではなく「使われること」

理念が浸透した状態とは、暗唱できることではありません。

迷ったときに立ち返る軸として、日々の判断の中で自然と使われている状態です。

その状態は、一度の研修ではつくれません。

日々の対話の積み重ねの中で、少しずつ形づくられていくものです。

最後に

経営理念の浸透には、時間がかかります。

ですが、時間がかかるからこそ
やり続けた会社にしかたどり着けません。

途中でやめれば、浸透しないまま終わる。
続けた会社だけが、少しずつ変化を実感していく。

浸透とは、一度の発信ではなく、継続の結果です。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

人財は「採る」から「育てる」へ

「いい人がいない」
「応募が来ない」
「来ても求めるレベルに届かない」

地方の中小企業において、採用は確実に難しくなっています。
特に、欲しいスキルを持った人財を外部から確保することは、年々現実的ではなくなってきています。

それでもなお、
「いい人が来るのを待つ」
「外から連れてくることに期待する」

そんな前提のままで、本当に良いのでしょうか。

採用の難しさの本質

地方中小企業の採用が難しい理由は、単なる人手不足ではありません。

・労働人口の減少
・都市部への人材流出
・企業間の採用競争の激化

こうした環境の中で、
“自社が求めるレベルの人財”を外部から確保すること自体が難しくなっています。

つまり、これまでのように「採用で解決する」という発想だけでは、立ち行かなくなっているのです。

問うべきは「採用できるか」ではない

ここで考えたいのは、

本当に課題は「採用できていないこと」なのかという点です。

むしろ問うべきは、「今いる人財が力を発揮できているか」ではないでしょうか。

・任せきれていない
・育てる前提が弱い
・役割が曖昧なまま働いている

こうした状態のままでは、
仮に採用できたとしても、同じことが繰り返されます。

いまこそ、人財育成へ

これからの中小企業に必要なのは、採用に依存しない組織づくりです。

その中心にあるのが、人財育成です。

・自社の仕事に合わせて育てる
・段階的に役割を広げていく
・出来ることを一つずつ増やしていく

外から完成された人財を求めるのではなく、
自社の中で戦力をつくるという視点が必要です。

教育訓練は設計で決まる

「研修をやっても変わらない」

そう感じている企業も少なくありません。
ただし、それは“育成そのもの”の問題ではなく、設計の問題です。

・一度きりで終わる研修
・現場と切り離された内容
・本人任せの学び

これでは行動は変わりません。

大切なのは、
自社に合わせた教育訓練を設計することです。

・業務とつながっているか
・段階的に成長できるか
・学びが行動につながる仕組みがあるか

ここまで設計して初めて、育成は機能します。

情報が人を変える

もう一つ重要なのが、情報が人の姿勢を変えるという視点です。

・自分の立ち位置を知る
・会社からの自身への期待を知る
・成長の道筋を知る

これだけで、人の行動は変わります。

逆に言えば、何も知らないままでは変わりようがありません。

だからこそ、

・階層別研修
・上司との対話の機会
・振り返りの場

こうした“気づきの設計”が重要になります。

問われているのは、内側の強さ

採用が難しい時代だからこそ問われるのは、

今いる人財で、どこまで戦えるか」です。

・一人ひとりが力を発揮できているか
・社員に会社からの期待を伝えているか
・成長の機会が用意されているか

ここに向き合わずに、外にばかり答えを求めても、状況は変わりません。

結論

今いる人財を育てることで、組織の力は確実に変わります。

そしてその変化は、外からも見えるようになります。

今いる人財を育てることで、結果として欲しい人財が採用出来る会社になる。

採用の前に、育成を。

その転換が、これからの企業に求められています。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

株式会社迅技術経営

子育て中でもあきらめない

上島が実践した「資格勉強を続けるための3つの工夫」

「子育てしながら資格の勉強なんて無理…」
そう感じている方は、少なくないと思います。

私自身も子どもが小さい頃に資格勉強に取り組みながら、何度も心が折れそうになりました。思うように時間が取れない、予定通りに進まない、疲れて眠い…。

それでも少しずつ工夫を重ねることで、学びを続けることができました。

今回は、私が実践してきた「子育て中でも勉強を続けるための3つの工夫」をご紹介します。

① 意識して「不可侵時間」を確保する

まず一番大切にしていたのが、「ここだけは勉強する」と決めた時間を守ることです。

子どもが小さい頃、私はよく

  • 寝かしつけのまま一緒に寝る
  • 無理をしない
  • その代わり、早朝に起きて家事と勉強する

という生活をしていました。

夜に頑張ろうとすると、どうしても疲れが勝ってしまいます。
無理に夜型にせず、「朝型」に切り替えたことで集中力も上がりました。

ポイントは、

  • 最初は短時間からでもOK
  • でも「この時間は守る」と決めること

完璧を目指さず、「細く長く続ける」ことを意識していました。

② 勉強計画は「週単位」で考える

子育て中は、とにかくイレギュラーの連続です。

  • 子どもの体調不良
  • 学校・園の急な予定変更
  • 家族の用事
  • 自分の疲労

「今日はここまでやる!」と日単位で管理すると、予定通りにいかないことが増え自己嫌悪に陥ります。

そこで私は、計画を「週単位」に切り替えました。

例えば、

  • 今週はこの範囲まで終える
  • テキスト〇ページまで進める
  • 問題集〇回分やる

というように、大枠で管理します。

できない日があっても、「別の日で調整すればOK」

と考えることで、気持ちが楽になりました。もちろん予備時間も設定しないと、計画を達成できません。予備時間も計画に入れます。

子育て中の勉強は、「柔軟さ」が何より大切です。

③ 家事の「あたりまえ」を見直す

勉強時間をつくるために、私が一番見直したのは「家事」でした。

以前は、

  • ちゃんと作らなきゃ
  • ちゃんと片付けなきゃ
  • 母親だから全部やらなきゃ

と、無意識に自分を縛っていました。でも、ある時ふと思ったのです。

「これ、本当に全部必要?」そこから、思い切って簡略化しました。

▶ 家事は“60点でOK”に

  • 副菜は多めに作り、翌日使ってもOK
  • まとめて出来ることを捜す
  • 完璧を目指さない

「手抜き」ではなく「工夫」です。

▶ 子どもを“戦力”にする

また、子どもにもどんどん頼るようにしました。

  • 洗濯物を干す、たたむ
  • 料理を盛り付ける、並べる
  • 簡単な片付け、掃除

最初は時間がかかります。
でも、長い目で見ると大きな助けになりますし、子どもの自立にもつながります。

「全部自分で抱え込まない」

これが、継続の最大のコツでした。

子育て中の勉強は「根性」だけでは続かない

子育てしながらの資格勉強は、決して楽ではありません。
でも、「気合」や「我慢」だけでは長続きしません。

大切なのは、

  • 自分に合った時間の使い方を見つける
  • 計画に余白を持たせる
  • 継続出来る仕組みをつくる

ことだと、私は実感しています。

おわりに

「今は忙しいから無理」
「子育てが落ち着いてから…」

そう思っている方も多いかもしれません。

でも完璧に環境が整う日は、なかなか来ません。

小さくてもいい、ゆっくりでもいい、止まらずに続けること。

それが将来の自分を助けてくれます。

このブログが同じように頑張っている方の背中を少しでも押せたら嬉しいです。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

金沢で「ビズストーム ベーシックセミナー」を受講しました

先日、金沢で開催された「ビズストーム ベーシックセミナー」に参加してきました。

日頃、企業の皆様と関わる中で、
「判断力」や「意思決定の質」は、企業の成長を大きく左右する要素だと感じています。

今回のセミナーは、その重要性を改めて実感する、非常に学びの多い時間となりました。

本日の3つの気づき

今回の研修で、特に印象に残ったのは次の3点です。

① ビジネスの場では「初速」が大事

チャンスをつかめるかどうかは、
「最初の一歩をどれだけ早く踏み出せるか」で決まることが多いと感じました。

慎重さも大切ですが、
考えすぎて動けなくなるよりも、まず動くことの重要性を再認識しました。

支援する立場としても、「最初の一歩」を後押しできる存在でありたいと思います。

② 大きく動かす前には、必ずリスクヘッジを考える

一方で、勢いだけではうまくいかないのも事実です。

・想定されるリスクは何か
・失敗した場合の対応策はあるか
・最悪のケースをどうカバーするか

こうした視点を持った上で動くことが、長く事業を続けていくためには欠かせません。

「攻め」と「守り」のバランスの大切さを、改めて学びました。

③ 意思決定のスピードを上げるためにも「計画」は必要

計画というと、「慎重」「時間がかかる」というイメージを持ちがちですが、
実は早く決めるためにこそ、計画が必要なのだと気づきました。

・基準が明確になる
・迷いが減る
・判断がブレにくくなる

結果として、スピーディーな意思決定につながります。

日々の支援や自分自身の仕事にも、しっかり活かしていきたい視点です。

学びを、現場に活かしていくために

今回のセミナーで得た学びは、
経営支援、組織づくりや人材育成にも直結する内容でした。

「早く動く」
「リスクを考える」
「計画で判断力を高める」

この3つを意識しながら、
これからも皆さまに伴走していきたいと思います。

最後に

講師の先生、そしてご一緒した受講者の皆さま
貴重な学びの機会を本当にありがとうございました。

今後も、こうした学びを積み重ねながら、
より良い支援ができるよう、自己研鑽を続けていきたいと思います。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

東京で「キャリアストーム ベーシックセミナー」を受講しました

先日、東京で開催された「キャリアストーム ベーシックセミナー」に参加してきました。

キャリアストームについてはコチラのホームページをご確認ください。

キャリア支援に関わる中で、「自分自身の視点や考え方をアップデートすること」の大切さを感じています。今回は、そのための大切な学びの時間となりました。

本日の3つの気づき

今回の研修で、特に印象に残ったのは次の3つです。

① 自分にもアンコンシャスバイアスがある

「私は比較的フラットに物事を見ているつもり」正直、どこかでそう思っていました。

しかし、ワークを通して改めて気づいたのは、
誰にでも無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)はあるということ。

経験や立場が変われば、見え方も変わります。
だからこそ、自分の考えを定期的に疑い、点検することが大切だと実感しました。

支援する立場としても、常に意識しておきたい視点です。

② 仕事以外でもポータブルスキル(持ち運べるチカラ)は磨ける

仕事に必要なスキルは、「仕事の中でしか身につかないもの」と思いがちです。

でも今回の研修を通して、

・家庭での役割
・PTAや地域活動
・子育てや人間関係
・学びの場への参加

こうした日常の中にも、たくさんの成長機会があることを再認識しました。

特に、時間制約のある働く母にとっては、「すべてが学びになる」という視点は大きな励みになります。

③ 前向きな方と学ぶ時間はやはり楽しい

今回ご一緒した受講者の皆さんは、とても前向きで学びに貪欲な方ばかりでした。

・自分たちが提供したい人にキャリア研修の必要性がどうすれば伝わるか考える姿勢
・積極的な発言
・他者を尊重する雰囲気

そうした空気の中で学ぶ時間は、やはりとても心地よく、刺激的です。

「誰と学ぶか」は、「何を学ぶか」と同じくらい大切だと、改めて感じました。

学びを、実務と日常へつなげていく

今回のセミナーで得た気づきはキャリア支援の現場だけでなく、日々の仕事や家庭生活にも活かせるものばかりでした。

・思い込みに気づくこと
・経験を学びに変えること
・前向きな仲間と関わること

こうした積み重ねが、長いキャリアを支えていくのだと思います。

これからも自分自身の学びを止めず、クライアントの皆さまや関わる方々により良い支援ができるよう成長を続けていきたいと思います。

最後に

講師の先生、そしてご一緒した受講者の皆さま、本当にありがとうございました。

とても充実した学びの時間でした。

今後も、こうした経験をブログでも発信していきたいと思います。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

社内でキャリアストームを実施しました

期待と称賛が人と組織を育てる

― 社員に「届く」伝え方の工夫 ―

「本当は、とても頑張ってくれていると思っている」

こうした思いを持ちながらも、それをどう伝えればよいか悩んでいらっしゃる経営者も多いことかと思います。

期待をかけたい。でも、重荷にならないか。
褒めたい。でも、甘やかしにならないか。

人は「期待されている」と感じたときに力を出す

人は、「信頼されている」「任されている」と感じたとき、自分の可能性を信じて、一歩踏み出します。これはスキルや経験以前の、心のスイッチです。

経営者の中にある「この人ならできる」「次のステージに進んでほしい」
という思いも、言葉にして初めて、社員の力になります。

伝えなければ、無いのと同じ。期待は、伝えてこそ意味を持ちます。

褒めることは、評価ではなく「相手の存在を認めること」

褒めるというと、
成果を出したときの“評価”だと受け取られがちですが、
私が感じるのは、社員が本当に求めているのはそこではありません。

  • 努力を見てくれている
  • 工夫に気づいてくれている
  • 自分の存在を認めてもらえている

こうした存在承認の言葉が、「また頑張ろう」という内側のエネルギーになります。

結果だけでなく、そこに至るプロセスや姿勢にも目を向ける。
それが、人を育てる褒め方です。

ただし、経営者の言葉は“強すぎる”ことがある

一方で、こんな声も耳にします。

  • 社長に言われると、身構えてしまう
  • 期待されるほど、プレッシャーに感じる
  • 本音なのか、評価なのか分からない

経営者の言葉は影響力が大きい分、
時に社員にとっては“強すぎる”のです。

そんなときに有効なのが第三者を介した伝え方です。

第三者は、思いを“届く言葉”に変える存在

私が若いときから実践していることがあります。
それは私との会話の中で別の人を取引先が褒めてくれたとき、相手に「ありがとうございます」というのはもちろんですが褒めていただいたことを必ず本人に伝えるようにしていました。人は褒められると嬉しいし仕事にも前向きになります。仕事に前向きになるとその後の行動も変わります。

同じ内容でも、

  • 取引先の人
  • 管理職
  • 客観的な立場の人

から伝わることで、評価ではなく“応援”として届きます。

第三者は、経営者の思いを、社員の心に届く形に翻訳する役割を担います。


期待と称賛が循環する組織は強い

期待され、認められ、自分の価値を実感できる。

そんな経験を重ねた社員は、

  • 自ら考え
  • 自ら動き
  • 周囲にも良い影響を広げていく

ようになります。

経営者が一人で全員に直接伝え続けなくても、
管理職や社外の力を借りて、
言葉が循環する仕組みをつくることで、
組織全体の空気は確実に変わっていきます。


経営者の「期待」を、社員に届けるために

「本当は期待している」
「本当は感謝している」

その思いが伝わらないままなのは、組織にとって大きな損失です。

もし、

  • 自分の言葉だけではうまく伝わらない
  • もっと一人ひとりを活かしたい

そう感じておられるなら、ぜひ第三者を介して褒めるを実践して下さい。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

「配慮」だけで人は育たない

― 子育て中の女性社員に役割を渡すという選択 ―

子育て中の女性社員に対して、「今は大変な時期だから、無理をさせない方がいい」
そう考える経営者の方は多いと思います。

もちろん、家庭との両立への配慮は必要です。
しかし、“配慮だけ”が続いた結果、本人の意欲が下がり、離職につながるケースを少なからず見聞きします。


配慮が「期待されていない」というメッセージになるとき

  • 任せてもらえなくなった
  • 大事な仕事から外されている気がする
  • 期待されていないのではないかと感じる

会社としては「負担を減らしたつもり」でも、本人にとっては「戦力として見られていない」というメッセージとして受け取られてしまうことがあります。


「できない前提」ではなく「今、できる役割」を考える

以前、長坂養蜂場さんのYouTubeで印象的な事例を目にしました。
そこでは、子育て中の女性社員に対して「できないこと」を基準に仕事を外すのではなく、「今の制約の中でも担える役割」を渡していることが紹介されていました。

「時間に制約があるから外す」ではなく、時間に制約があるからこそ、
どんな役割なら責任を持って担えるのかを考える。

この姿勢は、「無理をさせる」こととはまったく違います。

役割を渡すことは、信頼を示すこと

子育て中の女性社員は、

  • 限られた時間で成果を出す工夫
  • 優先順位を考える力
  • 周囲と調整しながら進める力

を、日常の中で磨いています。にもかかわらず、役割を与えられない状態が続くと、
「ここで頑張る意味」が見えなくなってしまいます。役割を渡すことは、期待と信頼を言葉と行動で示すことです。

役割の再設計は、経営者の仕事

子育て中の女性社員に対して、
今のライフステージに合った役割を再設計することは、
女性支援や福利厚生の話ではありません。

  • 戦力人材の離職を防ぐ
  • 経験とノウハウを社内に残す
  • 将来の中核人材を育てる

ための、経営者として極めて合理的な判断です。

小さな組織だからこそ、一人ひとりの状況を踏まえた役割設計ができます。

「配慮」と「役割」をセットで考える

配慮は必要です。しかし、配慮だけでは人は育ちません。

配慮と同時に、役割を渡す。このバランスこそが、子育て中の女性社員の安心感と意欲を生み、結果として会社の力になります。

「今は何を任せるのか」
「どんな期待をしているのか」

その言葉を、ぜひ社員に伝えてみてください。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

「3歳までの短時間勤務制度」だけでは定着しない

地方の中小企業こそ、短時間正社員制度を“戦略”として導入すべき理由

地方の中小企業にとって、「採用できない」「定着しない」は深刻な経営課題です。求人を出しても応募が来ない。せっかく育てた人材が、ライフイベントをきっかけに辞めてしまう。その裏側には、法定の短時間勤務制度だけでは復帰後の働き方が支えられていないという構造的な問題があります。


1.短時間勤務制度(法定)は「利用率は高いが、限界も大きい」

厚生労働省のデータによると、
育児短時間勤務制度の利用率は

  • 女性:75.4%
  • 男性:3.4%

と、特に女性の利用は非常に高い数字です。つまり、育児期に“6時間勤務で復帰する”という流れはすでに多くの企業で一般化していると言えます。

しかし問題は その後 です。


2.子が3歳〜小学校低学年で離職が最も多い― 法定制度が終わった瞬間、働き方が急に変わる

各種調査では、離職のピークは「子どもが3歳〜小学校低学年」 と言われています。

これはまさに、法定の短時間勤務制度(6時間)が終わる時期 と重なります。

復帰後の働き方は6時間 → 8時間という“2時間の段差”

✔ この「6h→8hのギャップ」が離職を生みやすい大きな要因です。

  • 生活のペースが追いつかない
  • 家事・通院・学校行事が重なる
  • 本人と子どもの体力・メンタル面も整わない
  • 会社側も急な業務量変更に対応できない

せっかく復帰したのに、「続けられない」という理由だけで離職する現実があります。


3.しかも地方ではさらに深刻

「働けない → 離職 → パート転換 → 職種まで変える」という構造

地方では都市部のように柔軟な働き方の選択肢が少ないため、
時間制約が出た瞬間に次のような流れが起きています。

働けない
→ 離職
→ 正社員を諦めてパートへ
→ パートで働くために“職種まで変える”

これは本人にとっても企業にとっても、地域にとっても大きな損失です。

本来残るべき人材が、
制度がないだけでキャリアを断ち切られているのが現実です。


4.そこで必要なのが企業独自の「短時間正社員制度」

― 継続雇用と戦力維持のための“戦略的な制度”

短時間正社員制度は、
企業が自由に設計できる継続雇用の仕組み です。

  • 1日6〜7時間など勤務時間を柔軟に設定
  • 週の勤務日数や曜日も調整できる
  • 給与は時間比例
  • 評価・役割は“正社員として”維持(企業で設定できる)
  • 育児・介護・持病にも対応可能

法定制度の不足部分を埋め、
“続けられる働き方” をつくる制度です。


5.最も効果が出るのは「6 → 7 → 8時間」のステップ設計

― 法定6h + 独自7h + 通常8h の3段階

私が地方企業におすすめしたいのは次の「段階的復帰モデル」です。


ステップ1:短時間勤務制度(法定・6h)

まずは職場に戻るための最低限の安全網。

ステップ2:短時間正社員(企業独自・7h)

1時間のプラスが、復帰を安定させます。

  • 子どもの生活リズムが安定
  • 本人の体力・メンタルが回復
  • 保育園の延長対応がスムーズ
  • 会社も業務量・責任範囲を段階的に調整できる

この助走ステップが“離職の谷間”を埋める鍵です。

ステップ3:フルタイム(8h)

ステップ2があることで、自然に移行できます。

6.地方の中小企業こそ、この制度が“採用力”につながる

地方は以下の特徴を持っています。

  • 求職者の母集団が少ない
  • 地域活動が多い
  • フルタイム前提の求人は応募が集まりにくい

つまり、

「辞めない仕組み」は、地方企業にとって“採用戦略そのもの”になります。

7.制度を形骸化させないための3つの条件

短時間正社員制度を“戦略”として機能させるには、
以下の3点セットが必須です。


① 戦力確保・定着施策として制度設計する

優秀な人材を守ることこそ最大の投資です。


② 評価制度・育成制度を中長期で整える

短時間でも責任ある仕事を任せられる設計に。


③ 社内文化・マネジメントを変える

  • 時間だけでなく成果で評価
  • 属人化の解消
  • 管理職教育と風土づくり
    が欠かせません。

結論

  • 法定の短時間勤務制度は「戻るための最低限」
  • 継続して働くための「企業独自の短時間正社員」により子3歳〜小学校低学年の離職増加を防ぐ
  • 6→7→8h のステップ設計で離職は大きく減る
  • 地方は「辞めない=最大の採用戦略」
  • 制度×評価×社内文化で“人が辞めない会社”をつくる

短時間勤務制度と短時間正社員制度は、
地方の採用難を解決する「戦略的な人材確保策」 です。

令和7年度 石川県 労働条件等実態調査について(石川県ホームページ)

キャリアコンサルタント上島美和

『あの日、小林書店で。』を読んで感じたこと

“助け合いは偶然ではなく、つくり出すもの”

勉強会で話題になっていたことをきっかけに、川上徹也さんの『あの日、小林書店で。』を読みました。小さな書店を舞台にした物語ですがページをめくるほどに「人が人を支えるってどういうことだろう」という問いが胸の中で温かく広がっていきました。

私が特に良かったと思ったのは、この物語が“互いに助け合う力”をやわらかく、でも本質的に描いていたところです。

そっと寄り添うからこそ、人は変われる

この本に出てくる人たちは、誰もが“押しつけるような正しさ”ではなく相手の課題に静かに寄り添う姿勢を持っています。無理に解決してあげるのではなく、相手が自分で気づき、前に進めるような“余白”を大切にしている。経営支援の仕事でも同じだと思います。課題は見えていても答えを渡すことよりその人が自分の足で立ち上がれる関わり方のほうが、長い目で見て本当の価値になる。物語を通じて、その大切さをあらためて感じました。

助け合いは「偶然」ではなく「巻き込み」が生むもの

本を読みながら心に残ったのは、きづいたら助け合っていた……ではなく、互いを巻き込みながら、“自分も良くなり、相手も良くする”関係性をつくっていくこと。という視点です。助け合いは自然発生するように見えて、実は意図と行動が必要。

自分から声をかける

相手の強みを認める

自分の弱さも見せる

小さな出来事を積み重ねる

その積み重ねが、気づけば大きな支え合いにつながる。これは組織づくりにも通じます。「良い組織文化」は偶然ではなく、“誰かが誰かを巻き込む”行動から生まれるのだと思います。

年長者の成功と失敗は、若者にとって「未来の地図」になる

物語の中では、年長者の人生経験が若者の悩みを解くヒントになっていく場面が印象的です。年齢を重ねてきた人の成功、失敗、喜び、苦しみそのすべてが、若い世代にとって“未来の地図”になるのです。

平時の関係性が、非常時の支えになる

本当に困ったときに人を救うのは急に築かれる関係性ではなく、普段からの小さな交流や信頼の積み重ねです。「困ったら頼ってください」よりも、普段の何気ない雑談・相談・気づかいが大切。小林書店の人たちの関係性は、そんな“平時の結び目”の強さで成り立っていました。

最後に

『あの日、小林書店で。』は、一見すると小さな物語ですが、やりがい・組織・人間関係に向き合うヒントがぎゅっと詰まっている本でした。

  • 寄り添う
  • 巻き込む
  • 経験を渡す
  • 平時の関係を育てる

どれも支援の仕事にも、組織づくりにも通じています。

キャリアコンサルタント上島美和

子育ては“最強のマネジメント実践の場”である

「子育てと仕事は両立が大変」
これは本当にその通りです。ただ私は、自分自身が働く親として日々を過ごす中で、子育てほど“人を育てる本質”を学べる場はないと強く感じています。

そして、この経験は確実に リーダーシップの土台 になります。

働く親の中には、
「家庭があるからリーダーは難しい」
「時間が限られるから責任ある立場は遠慮してしまう」
と考える方もいますが、私はむしろこう思います。


子育て経験こそ、リーダー育成に必要な力の宝庫

子どもと向き合う時間の中で、リーダーに必要な力が自然と磨かれていきます。

① 観察力(相手の“変化”に気づく力)

幼い子どもは、気分や体調の変化を細かく言語化してくれるわけではありません。
表情、声のトーン、動きの速さ、返事の間など、様々なサインをキャッチしながら、
「今日は少し疲れているな」
「何か気になっていることがあるのかな」
と読み取って対応します。

これは職場でも同じ。
メンバーの“小さな変化”に気づけるリーダーほど、信頼関係を築くのが早いものです。


② 承認力(小さな成長を見逃さない力)

子どもの成長は本当に小さなステップの積み重ねです。
それを見つけ、言葉にして伝えることで、子どもは「できた」を実感し、自信をつけていきます。

職場でも、
「ここは以前より改善していますね」
「この部分の判断がとても良かったよ」
と美点を具体的に伝えられるリーダーは、チームの成長を加速させます。


③ 調整力(家庭で鍛えられる“段取り力”)

働く親は、常に段取りと優先順位づけの連続です。
学校行事、仕事、食事、送り迎え、体調不良の対応…
毎日がプロジェクトマネジメントのようです。

調理、洗濯物、食器の片づけ、ゴミ出しなど、家庭運営に必要なタスクを、一人に集中させず“できる人が担う”というスタイルを確立しているご家庭もあります。
私自身も主に 料理づくりと全体のマネジメント(段取り・調整) を担当し、
その他の家事は子供たちができることを自分の役割として自然に担っています。

家族全体が一つのチームとして動くことで、家庭はとても円滑になります。
そしてこの感覚は、そのまま職場のマネジメントにも活きる力です。


④ 傾聴力(話しやすい空気をつくる力)

子どもが何か話したい時、こちらの「聴く姿勢」が問われます。
急かさず、否定せず、気持ちを受け止める。

この“傾聴の姿勢”は、現場のリーダーにこそ必要なスキルです。
部下は、話せるリーダーより 話したいと思えるリーダー のもとで育ちます。


子育てと仕事を両立したリーダーは、組織に新しい価値をもたらす

働く親がリーダーになると、チームにこんな変化が生まれます。

  • 無駄な叱責が減り、対話が増える
  • メンバーの個性を尊重したマネジメントができる
  • チームの心理的安全性が高まる
  • “働きやすさ”と“成長”の両立が可能になる

これはまさに、今の組織が求めているリーダー像です。


「家庭があるからリーダーは無理」は、もう手放していい

家庭があるからこそ身につく力があります。
時間に制約があるからこそ、段取り力が育ちます。
子育てで日々向き合う感情の揺れが、他者への理解を深めてくれます。

そして何より、働く親がリーダーとして活躍する姿は、
後輩や周囲の社員そして子どもたちに大きな希望を与えます。

最後に

子育ては、決してキャリアの妨げではありません。
むしろ、リーダーに必要な力を最も実践的につけることが出来る場です。

家庭の経験を、自信に変えていい。
その経験を、ぜひ職場の力に変えていきましょう。

キャリアコンサルタント上島美和