「子育てと仕事は両立が大変」
これは本当にその通りです。ただ私は、自分自身が働く親として日々を過ごす中で、子育てほど“人を育てる本質”を学べる場はないと強く感じています。
そして、この経験は確実に リーダーシップの土台 になります。
働く親の中には、
「家庭があるからリーダーは難しい」
「時間が限られるから責任ある立場は遠慮してしまう」
と考える方もいますが、私はむしろこう思います。
子育て経験こそ、リーダー育成に必要な力の宝庫
子どもと向き合う時間の中で、リーダーに必要な力が自然と磨かれていきます。
① 観察力(相手の“変化”に気づく力)
幼い子どもは、気分や体調の変化を細かく言語化してくれるわけではありません。
表情、声のトーン、動きの速さ、返事の間など、様々なサインをキャッチしながら、
「今日は少し疲れているな」
「何か気になっていることがあるのかな」
と読み取って対応します。
これは職場でも同じ。
メンバーの“小さな変化”に気づけるリーダーほど、信頼関係を築くのが早いものです。
② 承認力(小さな成長を見逃さない力)
子どもの成長は本当に小さなステップの積み重ねです。
それを見つけ、言葉にして伝えることで、子どもは「できた」を実感し、自信をつけていきます。
職場でも、
「ここは以前より改善していますね」
「この部分の判断がとても良かったよ」
と美点を具体的に伝えられるリーダーは、チームの成長を加速させます。
③ 調整力(家庭で鍛えられる“段取り力”)
働く親は、常に段取りと優先順位づけの連続です。
学校行事、仕事、食事、送り迎え、体調不良の対応…
毎日がプロジェクトマネジメントのようです。
調理、洗濯物、食器の片づけ、ゴミ出しなど、家庭運営に必要なタスクを、一人に集中させず“できる人が担う”というスタイルを確立しているご家庭もあります。
私自身も主に 料理づくりと全体のマネジメント(段取り・調整) を担当し、
その他の家事は子供たちができることを自分の役割として自然に担っています。
家族全体が一つのチームとして動くことで、家庭はとても円滑になります。
そしてこの感覚は、そのまま職場のマネジメントにも活きる力です。
④ 傾聴力(話しやすい空気をつくる力)
子どもが何か話したい時、こちらの「聴く姿勢」が問われます。
急かさず、否定せず、気持ちを受け止める。
この“傾聴の姿勢”は、現場のリーダーにこそ必要なスキルです。
部下は、話せるリーダーより 話したいと思えるリーダー のもとで育ちます。
子育てと仕事を両立したリーダーは、組織に新しい価値をもたらす
働く親がリーダーになると、チームにこんな変化が生まれます。
- 無駄な叱責が減り、対話が増える
- メンバーの個性を尊重したマネジメントができる
- チームの心理的安全性が高まる
- “働きやすさ”と“成長”の両立が可能になる
これはまさに、今の組織が求めているリーダー像です。
「家庭があるからリーダーは無理」は、もう手放していい
家庭があるからこそ身につく力があります。
時間に制約があるからこそ、段取り力が育ちます。
子育てで日々向き合う感情の揺れが、他者への理解を深めてくれます。
そして何より、働く親がリーダーとして活躍する姿は、
後輩や周囲の社員そして子どもたちに大きな希望を与えます。
最後に
子育ては、決してキャリアの妨げではありません。
むしろ、リーダーに必要な力を最も実践的につけることが出来る場です。
家庭の経験を、自信に変えていい。
その経験を、ぜひ職場の力に変えていきましょう。