「育成キャンセル界隈」の時代に考える、人が成長するための二つの力

最近、「育成キャンセル界隈」という言葉を耳にするようになりました。
部下や後輩を育てることに難しさを感じ、指導そのものを諦めてしまう。そんな現象を表す言葉です。

厳しく指導すれば、パワハラと言われるかもしれない。注意すれば、相手が辞めてしまうかもしれない。それなら、余計なことは言わないほうがいい。
そんな空気が生まれているのかもしれません。

もちろん、理不尽な指導や人格を否定するような叱責が許されるわけではありません。
しかし、人が成長するためには、ときに自分の未熟さと向き合い、耳の痛い言葉を受け止めることも必要です。

では、育成が難しくなったといわれる今の時代、私たちはどうすれば成長し続けられるのでしょうか。

私は、二つのことが大切だと考えています。
一つは、自分を成長させてくれる「師匠」を持つこと。
もう一つは、自分自身を律すること。

この二つは、どちらが欠けても十分ではないと思うのです。

1.厳愛を持って向き合ってくれる「師匠」を持つ

人が成長するとき、そこには誰かとの出会いがあるものです。

自分にはない視点を教えてくれる人。
自分の可能性を信じてくれる人。
そして、ときには厳しい言葉をかけてくれる人。

私は、こうした人の成長を願う厳しさを「厳愛(げんあい)」という言葉で捉えたいと思います。

厳愛とは、ただ厳しくすることではありません。
相手の未来を思うからこそ、言いにくいことも伝える。目先の心地よさより、その人の成長を大切にする。
そこには、相手への愛情と敬意がなければなりません。

人生を振り返ったとき、厳しく指導してくれた上司や先輩の言葉が、後になって心に響くことがあります。

「あのとき、あの人が言ってくれたから」
そう思える人との出会いは、人生の財産ではないでしょうか。

師匠は社内にいても、社外にいてもいい

大切なのは、自分を育ててくれる存在を、会社や上司だけに求めないことです。

社内の先輩でもいい。
別の部署の尊敬できる人でもいい。

社外のメンターや、異業種で活躍する経営者でもいい。
歴史上の偉人でも、研修で出会った講師でもいい。

直接会える人でなくても、その人の生き方や言葉、著書から学び、自分の行動を見つめ直すきっかけを得られるなら、その人もまた、自分にとっての師匠になり得るのではないでしょうか。

年齢や肩書にこだわる必要もありません。
自分の知らない世界を見せてくれる人、自分の考えを深めてくれる人、そして自分の甘さに気づかせてくれる人。
そんな人を、自ら探し、教えを請うことが大切なのだと思います。

ただし、厳しい人がすべて良い師匠というわけではありません。
人格を否定したり、威圧したりすることと、厳愛は違います。
本当の師匠とは、自分を従わせる人ではなく、自分の力で考え、行動できるように導いてくれる人です。

育成をキャンセルする人が増えたと嘆くよりも、まず自分から師匠を探しに行く。
受け身ではなく、自分の成長に責任を持つ姿勢が、今こそ必要なのではないでしょうか。

2.自分を律する力

もう一つ大切なのは、自分自身を律することです。
どれほど素晴らしい師匠に出会っても、その教えを実践するかどうかは自分次第です。

師匠は助言をしてくれますが、代わりに努力してくれるわけではありません。
師匠の存在と同じくらい重要なのが、自分の内側にある規律なのです。

誰かに言われたから努力するのではない。
誰かに叱られるから正しい行動をするのでもない。
自分自身の志に照らして、どうあるべきかを考え、行動する。
これこそが、自分を律するということなのでしょう。

人は誰でも、楽なほうへ流されることがあります。
「これくらいでいいだろう」
「今日はやらなくてもいいだろう」
「自分は悪くない」
そんな気持ちが生まれることもあるでしょう。

そのとき、自分自身に問いかけることができるか。
「本当にそれでいいのか」
「自分の志に恥じない行動だろうか」
「昨日の自分より成長できているだろうか」
他人に厳しく言われなくても、自分で自分を振り返ることができる。

そして、必要な努力を積み重ねていく。

自分の中に、もう一人の厳しい師匠を持つように自分を律すること。
それが、自律した人間になるための大切な姿勢だと思います。

師匠を持つことと、自分を律することは両輪

この二つは、どちらか一方でよいというものではありません。

師匠がいても、自分に学ぶ姿勢がなければ成長は難しいでしょう。
一方、自分を律する力があっても、自分だけの考えに閉じこもっていては、視野が狭くなることがあります。

人は、自分の弱点や思い込みに、なかなか気づけないものです。
だからこそ、外から厳愛を持って向き合ってくれる師匠が必要です。
そして、その教えを受け止め、実践していく自律心も必要なのです。

師匠は、自分では見えないものを見せてくれる存在。
自律心は、そこから自分を変えていく力。
この二つがそろうことで、人はより大きく成長できるのではないでしょうか。
自分を律するということは、決して一人で頑張り続けることではありません。
誰から学ぶのか、誰と付き合うのかを自分の意思で選ぶこともまた、自律の一つなのだと思います。

おわりに――育成を待つのではなく、自ら成長する

「育成キャンセル界隈」という言葉は、現代の職場が抱える難しさを映し出しているように思います。

しかし、育ててもらう機会が減ったとしても、自分自身の成長まで諦める必要はありません。

厳愛を持って向き合ってくれる師匠を見つけること。
そして、自分の中に志と規律を持つこと。

この二つを大切にすれば、どんな環境にいても、成長への道を切り拓くことができるはずです。

成長のために必要なのは、外に「師匠」を持ち、内に「自律心」を持つこと。
誰かが育ててくれるのを待つのではなく、自ら学び、自らを磨いていく。
そんな生き方を大切にしたいですね。

最後に、自分自身に二つの問いを投げかけてみたいと思います。
あなたには、厳愛を持って向き合ってくれる師匠がいますか?
そして、あなたは自分自身を律することができていますか?

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

「この研修に行ってきて」で終わっていませんか?

外部研修に送り出す前に、上司が伝えたいこと

社員に成長してほしい。
新しい知識や考え方を身につけて、仕事に生かしてほしい。
そんな思いから、社員を外部研修に送り出している経営者や上司の方は多いと思います。

では、研修に送り出すとき、本人にどのような言葉をかけているでしょうか。

「来月、この研修に行ってきて」
「申し込んでおいたから、予定を空けておいて」
日程と研修内容を伝えて、それで終わってはいないでしょうか。

上司には参加させる理由があっても、本人に伝えていなければ、その思いは伝わりません。研修を仕事での行動につなげるためには、送り出す前の関わりが大切です。

「皆さんは期待されているんですよ」と伝えると

私が研修の冒頭で、参加者の皆さんに伝えていることがあります。

「会社がお金を掛けて、仕事の時間を使って研修に送り出してくれるということは、皆さんに期待しているということですよ」
そうお伝えすると、びっくりされることがあります。

研修への参加には、受講料が掛かります。本人が職場を離れる間、仕事を調整したり、周りの社員が協力したりすることも必要です。会社は、そうした時間や費用を掛けて、社員を送り出しています。

しかし、参加する本人は、その機会を「自分への期待」として受け止めているとは限りません。
「上司に行くように言われたから」
「自分の順番が回ってきたから」
そのような認識で参加している方もいるのかもしれません。

驚かれるたびに、経営者や上司が期待を込めて送り出していても、その思いが本人には十分に伝わっていないのではないかと感じます。

なぜ、あなたに参加してほしいのか

上司は、日頃の仕事ぶりを見ながら、研修への参加者を選んでいると思います。
「そろそろ後輩を指導する立場になってほしい」
「自分の担当業務だけでなく、部署全体にも目を向けてほしい」
「経験を積んできた今だからこそ、一度基本を振り返ってほしい」
こうした期待があるなら、ぜひ本人に伝えてほしいのです。

理由が分からないままだと、本人は「忙しいのに、なぜ自分が行くのだろう」「自分には何か足りないということだろうか」とネガティブに受け止めることもあります。

「研修に行くように言われた」という認識と、「自分の成長を期待して送り出してもらった」という認識では、研修への向き合い方も違ってくるのではないでしょうか。

私からも、研修に参加する機会の意味はお伝えできます。しかし、「なぜ、あなたに参加してほしいのか」を具体的に伝えられるのは、日頃一緒に働いている経営者や上司です。

日頃の仕事ぶりと、これからの期待をつなげる

例えば、若手社員を後輩指導に関する研修へ送り出すとします。
「後輩指導の研修だから、行ってきて」
これだけでは、本人には研修のテーマしか伝わりません。

そこに、日頃の仕事ぶりと期待を添えてみてください。

「最近、後輩から質問を受けることが増えたね。自分の仕事を覚えてきた今、次は後輩ができるようになるための関わり方も身につけてほしいと思っている。今回の研修では、教え方や声のかけ方のヒントを見つけてきてほしい」
このように伝えられると、本人も自分の仕事と研修を結びつけて考えやすくなります。

期待を伝えるために、大げさな言葉は必要ありません。
「あなたの、こういうところを見ている」
「これから、こんな役割を担ってほしい」
「そのために、今回の研修を生かしてほしい」
日頃の働きを見ていることと、これからの成長を期待していること。その両方を、言葉にして届けることが大切です。

期待を伝えたら、本人の考えも聞く

ただし、期待を伝えることが、一方的な要求にならないようにしたいものです。
「お金を掛けているのだから、成果を出してきて」
「研修に行くのだから、全部できるようになってほしい」
こうした伝え方では、本人にとってプレッシャーが大きくなってしまいます。

送り出す前には、上司の期待とともに、本人が今感じている課題も話してみてください。
「今、後輩への教え方で困っていることはある?」
「今回の研修で、どんなことを学びたい?」
「仕事で使えるヒントを、一つ見つけてこられるといいね」
本人の話を聞くことで、上司が気づいていなかった悩みが見えてくることもあります。

会社から言われた研修でも、自分の困りごとや目指す姿とつながれば、参加する意味を見いだしやすくなります。送り出す前の対話は、そのきっかけになります。

「帰ってきたら話そう」まで約束する

研修前には、受講後のことも少し話しておくとよいと思います。

「研修が終わったら、仕事で使えそうだと思ったことを聞かせてね」
「学んだことの中から、すぐに試せそうなこと一緒に考えよう」
ここまで伝えておくと、本人も職場での実践を意識して参加しやすくなります。

そして、帰ってきたら、実際に話を聞く時間を取ってほしいのです。
何に気づいたのか。
自分の仕事と、どこがつながったのか。
明日から、何を試してみたいのか。

例えば、本人が「後輩にすぐ答えを教える前に、どこまで分かっているか聞いてみたい」と話したなら、その実践を後押しする。後日、「試してみてどうだった?」と声をかける。

うまくいかなかったときも、一緒に振り返り、次のやり方を考える。

研修の目的は、参加することだけではありません。学びを仕事での行動につなげることです。そのためには、研修後の上司の関わりも欠かせません。

「行ってきて」に、期待を添える

少人数の会社では、一人が研修に参加するための時間を確保することも、簡単ではないと思います。だからこそ、その機会を本人と会社の成長につなげたいものです。

送り出す前の対話は、長い面談でなくても構いません。
「なぜ、あなたに参加してほしいのか」
「これから、どんなことを期待しているのか」
「本人は、何を学びたいと思っているのか」
まずは、こうしたことを話す時間をつくってみてはいかがでしょうか。

私は研修を担当する立場として、参加者の皆さんに、会社が用意してくれた学びの機会を大切にしてほしいと伝えています。そして、学んだことを職場で試していただきたいと思っています。そこに、上司からの具体的な期待の言葉があれば、本人にとって研修の意味は、より明確になるはずです。

「この研修に行ってきて」に、「あなたに期待していること」を添える。
次に社員を研修へ送り出すときは、ぜひ、その期待を本人に伝えてみてください。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

よい習慣づくりに、市販の道具を活用しませんか?

「自分のできたことに目を向けたい」
「目標を立てたら、達成に向けて行動したい」

そう思っていても、忙しい毎日の中では、つい後回しになってしまうことがあります。

よい習慣を身につけるには、気持ちに加えて、取り組みやすくする工夫も大切です。
そこで私がおすすめしたいのが、市販の道具を活用することです。今回は、「やれたことリスト」と「しごとノート」をご紹介します。

自分のできたことに目を向ける「やれたことリスト」

一つ目は、エムプランの「やれたことリスト」です。

皆さんは、一日の終わりにどんなことを思い浮かべますか。
「あの仕事が終わらなかった」
「今日も勉強できなかった」
「うまく説明できなかった」
できなかったことや反省点ばかりが浮かぶ方もいるかもしれません。

改善点を見つけることは大切です。ただ、そればかりでは、自分が日々積み重ねていることを見落としてしまいます。

そこで取り入れたいのが、その日に「やれたこと」を書く習慣です。

例えば、こんなことでもよいと思います。

  • 分からないことを、そのままにせず質問できた
  • 後回しにしていた連絡ができた
  • 忙しそうな同僚に声をかけられた
  • 相手の話を最後まで聞けた
  • 教わったことを一つ試してみた

大きな成果でなくても構いません。自分が実際に行動したことに目を向けてみるのです。

「今日は何もできなかった」と思う日にも、振り返ってみれば、小さな行動が見つかるかもしれません。以前は難しかったことが、いつの間にかできるようになっていることもあるでしょう。

私は、自分のできたことに気づく習慣が、周りの人の頑張りや美点に気づくことにもつながると思っています。

相手のよいところを見つけ、言葉にして伝える。そのためにも、まずは自分に対して「これができたね」と認めるところから始めてみませんか。

目標を日々の行動につなげる「しごとノート」

二つ目は、目標設定と目標達成のための「しごとノート」です。

「目標を立てたけれど、日々の仕事に追われて忘れてしまった」
「達成したい気持ちはあるけれど、何から取り組めばよいか分からない」
そんな方に知っていただきたい道具です。

目標を達成するためには、目指す姿を描くだけでなく、そこに向かう道筋を具体的にすることが大切です。

長期の目標を中期のステップに分け、さらに短期の行動に落とし込む。「いつかこうなりたい」を、「そのために今、何をするか」につなげていくのです。

例えば、「後輩の育成を任せてもらえる社員になる」という目標なら、まずは「自分の担当業務の手順や判断の理由を説明できるようになる」というステップを考えます。

そして、「今週は一つの業務について、手順と注意点を書き出す」という具体的な行動にしていきます。

目標が大きいままだと、何から始めればよいか分からなくなることがあります。日々の行動まで具体的にすることで、今日取り組むことが見えてきます。

「しごとノート」は、こうした目標と行動をつなぐために活用できる道具です。仕事の背景や目的を考え、6か月後のゴールを設定し、毎週の目標や日々のタスクへと具体化していきます。

私が大切だと思うのは、「何を目指すか」とともに、「何のために目指すのか」を自分で考えることです。

会社から与えられた目標であっても、その意味を理解し、自分の仕事とのつながりを考えることはできます。
自分が納得できる目標を持ち、今取り組むことを明確にする。そして、進み具合を確かめながら、必要に応じて行動を見直す。

目標を立てて終わりにせず、達成に向けて行動する習慣をつくるために、「しごとノート」をおすすめしたいです。

最初から、自分で仕組みをつくらなくてもよい

「やれたこと」を書くことも、目標を管理することも、普通のノートで始められます。
ただ、いざ取り組もうとすると、「何を書けばよいのだろう」「どんな項目をつくればよいのだろう」と、そこで手が止まってしまうこともあります。

そんなときは、市販のものに用意されている形や手順を借りてみるのもよいと思います。
一から自分で考えなくても、取り組み始められる。使いながら、自分に合う方法を見つけていくこともできます。

大切なのは、ノートを買って満足するのではなく、実際に開いて書くことです。

例えば、やれたことを書くなら寝る前に、目標を確認するなら仕事を始める前に。生活や仕事の流れの中に、ノートを開く時間を組み込んでみる。
毎日完璧に書こうとするより、まずは一言でも書いてみる。途切れてしまったら、また始める。そんなふうに、無理なく続けられる使い方を探してみてはいかがでしょうか。

社員の習慣づくりにも、道具と関わりを

人材育成の場面でも、「もっと自信を持ってほしい」「目標に向けて主体的に動いてほしい」と願うことがあります。
そのとき、言葉で伝えることに加えて、行動しやすくなる道具を用意するのも一つの方法です。

ただし、ノートを渡して「書いておいて」で終わらせず、本人の話を聞く時間も大切にしたいと思います。
「どんなことができるようになった?」
「目標に向けて、今週は何に取り組む?」
「進めるうえで困っていることはある?」
こうした対話を重ねながら、できたことを認め、次の行動を一緒に考える。道具をきっかけに、上司と部下が話す時間をつくることもできます。

自分のできたことに目を向ける習慣と、目標に向けて行動する習慣。
身につけたい習慣に合わせて、市販の道具の力を借りてみませんか。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

美点のアンテナを磨く

~まずは自分の「できたこと」に目を向けてみよう~

皆さんは、自分の良いところをいくつ挙げられますか?
では、家族や職場の同僚、部下の良いところはいくつ挙げられるでしょうか。

私たちは日々の生活の中で、できていないことや足りないことには、案外簡単に気づくものです。

「あれができなかった」
「もっとこうすればよかった」
「あの人はどうしてこれができないのだろう」

そんなふうに、つい自分や相手の欠点に目が向いてしまうことはありませんか。

でも、同じように「できていること」「良いところ」にも目を向けられたら、人との関わり方は少し変わるのではないでしょうか。

私は、そのために美点のアンテナを磨くことが大切だと思っています。

まずは自分の「できたこと」を見つける

美点のアンテナを磨くために、まず取り組んでみてほしいのは、自分自身の良いところを見つけることです。

私たちは、自分に対して案外厳しいものです。
一日の終わりに振り返るのは、できなかったことや反省することばかり。

もちろん、反省して改善することは大切です。しかし、できなかったことばかりに目を向けていると、自分ができていることまで見えなくなってしまいます。

例えば、

  • 今日は自分から挨拶ができた
  • 苦手な仕事に挑戦してみた
  • 忙しかったけれど、約束を守れた
  • 相手の話を最後まで聞くことができた
  • 昨日より短い時間でタスクを終えられた

どれも、特別なことではないかもしれません。
でも、立派な「できたこと」です。

大きな成果を出したときだけ、自分を認める必要はありません。
小さな「できた」を積み重ねている自分に、もっと目を向けてもよいのではないでしょうか。

自分の美点に気づくと、相手の美点も見えてくる

自分のできていることに目を向ける習慣がつくと、少しずつ周囲の人のできていることにも気づきやすくなると思います。

例えば、職場で同僚が資料を準備してくれたとき。
「資料を準備するのは当たり前」と思うこともできます。

一方で、
「いつも期限を守ってくれる」
「見やすいように工夫してくれている」
「こちらが仕事を進めやすいように考えてくれている」
そんなふうに見ることもできます。

同じ出来事でも、どこにアンテナを向けるかによって、見えてくるものは違います。
これは、子育てでも同じではないでしょうか。

子どもができなかったことを注意するのは簡単です。
でも、昨日はできなかったことが今日はできた。言われなくても自分から行動した。

そんな小さな成長に気づける大人でありたいと思います。

美点は、見つけるだけでなく相手に伝える

そして、もう一つ大切にしたいことがあります。
それは、相手の美点を見つけたら、言葉にして伝えることです。

心の中で「すごいな」「助かるな」と思っていても、相手には伝わっていないかもしれません。

「いつも丁寧に仕事をしてくれてありがとう」
「さっきの説明、とても分かりやすかったです」
「最後まで諦めずに取り組んでいたね」
そんな一言が、相手にとって自分の強みに気づくきっかけになることもあります。

ここで大切なのは、何でも褒めればよいということではありません。
相手の行動をよく見て、具体的に伝えること。
「すごいね」だけではなく、「〇〇してくれたことが助かった」と伝える。
そうすることで、相手は自分のどんな行動が周囲の役に立ったのかを知ることができます。

私は、人材育成においても、この視点はとても大切だと考えています。
人は自分の改善点を知ることも必要ですが、それと同じくらい、自分の強みや良さを知ることも必要です。
上司や先輩から伝えられた何気ない一言が、自信につながり、次の行動への後押しになることもあるでしょう。

美点を見ることと、課題から目をそらすことは違う

もちろん、美点を見つけることは、欠点や課題を見ないことではありません。
仕事であれば、改善しなければならないことはありますし、ときには厳しい指摘が必要な場面もあります。

ただ、できていないことだけを見て、その人を評価してしまうのは、もったいないことだと思います。

誰にでも得意なことと苦手なことがあります。
苦手なところを改善する努力も必要ですが、得意なことを伸ばすことで、その人が力を発揮できる場面も増えていくのではないでしょうか。

人材育成とは、できないことをできるようにするだけではありません。
その人が持っている良さや可能性を見つけ、伸ばしていくことも人材育成の大切な役割だと思っています。

今日から、美点のアンテナを磨こう

美点を見つける力は、特別な才能ではなく、日々の意識によって磨いていけるものだと思います。

まずは今日一日を振り返って、自分ができたことを三つ見つけてみませんか。
どんなに小さなことでも構いません。
そして、家族や職場の人の良いところを一つ見つけて、言葉にして伝えてみる。

最初は少し照れくさいかもしれません。
でも、続けていくうちに、これまで当たり前だと思っていたことの中にも、たくさんの美点があることに気づくのではないでしょうか。

私自身も、まだまだできていないことに目が向いてしまいます。
だからこそ、意識して美点のアンテナを磨いていきたいと思っています。

自分のできたことを認める。相手の良いところを見つける。そして、言葉にして伝える。

そんな小さな習慣が、自分自身の成長にも、周囲の人とのより良い関係づくりにもつながっていくのではないでしょうか。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

経営者の「判断軸」を知ると、もっと働きやすくなる

「なぜ社長は、あんな判断をしたのだろう?」
「自分では良い提案だと思ったのに、なぜ採用されなかったのだろう?」
「昨日と言っていることが違う気がする……」
仕事をしていると、経営者や上司の判断に疑問を感じたり、モヤモヤしたりすることはありませんか?

特に若手社員の皆さんは、まだ仕事の経験が少ない分、経営者や上司が何を考えているのか分からないことも多いと思います。

そんなとき、ぜひ意識してほしいことがあります。
それは、経営者や上司が「何を基準に判断しているのか」を知ろうとすることです。

実は、その判断軸を理解することが、自分自身の働きやすさにつながっていくのです。

自分と経営者では、見ている景色が違う

例えば、あなたが業務を効率化するために、新しいシステムの導入を提案したとします。
作業時間が短縮でき、ミスも減らせる。自分では良い提案だと思っています。

ところが、社長からは「今は導入しない」という返事。
あなたは「せっかく考えたのに」「うちの会社は新しいことに消極的だ」と感じるかもしれません。

しかし、経営者は違う視点から判断している可能性があります。

例えば、

  • 導入費用に対して、どれくらいの効果が見込めるのか(いわゆる費用対効果)
  • 今後の資金繰りに影響はないか
  • 社員全員が使いこなせるのか
  • 今、本当に優先すべき投資なのか
  • 3年後、5年後の会社にとって必要なものなのか

経営者は、一つの部署や目の前の業務だけではなく、会社全体、そして会社の将来まで考えて意思決定しています。

つまり、同じ出来事を見ていても、立場によって判断するための情報や時間軸が違うのです。

もちろん、経営者の判断がいつも正しいとは限りません。
ただ、判断の背景を知ることで、これまで理解できなかったことが見えてくるかもしれません。

経営者は何を基準に判断しているのか

経営者の判断軸は、会社によっても人によっても違います。
それでも、多くの経営者が意思決定するときに考える要素があります。

一つは、社会や市場から自社に何が求められているのかということ。
そして、会社を継続させるために必要な利益、人材育成、資金繰りなどです。

また、時間軸も重要です。
目先の利益だけではなく、3年後、5年後、さらには10年後、20年後の会社を考えて判断することもあります。

一方で、経営者自身の価値観も判断に影響します。

「なぜ、この事業を始めたのか」
「どのような社会にしたいのか」
「仕事を通じて、何を実現したいのか」
こうした想いを知ることも、経営者の判断軸を理解する手掛かりになります。

判断軸を知るためには、まず話を聴くこと

では、どうすれば経営者や上司の判断軸を知ることができるのでしょうか。

私がおすすめしたいのは、まず相手の話をしっかり聴くことです。
自分と意見が違うとき、つい「でも」「それは違うのでは」と反論したくなることもあるでしょう。

もちろん、自分の意見を伝えることは大切です。
ただ、その前に、
「なぜ、そのように考えたのだろう?」
と、相手の考えに関心を持ってみてください。

相手の話を否定せず、最後まで聴く。
分からないことは、分かったふりをせずに確認する。
こうした積み重ねによって、少しずつ経営者や上司の考え方が理解できるようになります。

判断軸が分かると、仕事の進め方が変わる

経営者や上司の判断軸が分かるようになると、どのような変化が起こるでしょうか。

例えば、上司に企画を提案するとき。
以前は、自分が良いと思う理由だけを説明していたかもしれません。
しかし、上司が費用対効果を重視する人だと分かっていれば、事前に必要な数字を準備できます。
あるいは、社員の成長を大切にしている経営者であれば、その提案が社員の育成にどうつながるのかも説明できるでしょう。

つまり、相手の判断軸が分かれば、何を準備すればよいのかが見えてきます。

不要な資料を作ったり、何度も説明し直したりすることが減り、仕事を効率的に進められるようになります。

さらに、判断軸を理解していくと、次第に「この場合、上司ならどう判断するだろうか」と予測できるようになります。

最初は予測が外れることもあるでしょう。
そのときは、なぜ違ったのかを考え、また次に生かせばよいのです。
これを繰り返すことで、少しずつ自分自身で判断できることが増えていきます。

上司に一つひとつ確認しなくても、自分で考えて仕事を進められるようになる。
これは、若手社員の皆さんにとって、大きな成長ではないでしょうか。

上司を理解することは、媚びることではない

ここで、一つお伝えしておきたいことがあります。

経営者や上司の判断軸を理解することは、決して相手に媚びたり、何でも言うことを聞いたりすることではありません。

上司と部下は、組織の目標を達成するためのビジネス上のパートナーです。
上司には上司の役割があり、部下には部下の役割があります。
相手の判断軸を理解した上で、自分の意見を伝えることも大切です。

むしろ、相手が何を重視しているのかを知っているからこそ、より建設的な提案や意見交換ができるのではないでしょうか。

経営者や上司の考えを理解しながら、自分自身も考えて行動する。
そんな関係を築けたら、仕事はもっと面白くなると思います。

明日から、一つだけやってみてほしいこと

最後に、若手社員の皆さんに提案です。

明日から、経営者や上司が何かを決めたときに、
「なぜ、この判断をしたのだろう?」
と、一度考えてみてください。
そして、自分なりに判断の理由を予測してみてください。
その小さな積み重ねが、経営者や上司への理解につながります。

判断軸が分かるようになれば、仕事の見通しが立ちやすくなり、自分で判断できる場面も増えていきます。
そして、自分だけではなく、同僚への助言ができるようになれば、組織全体の働きやすさにもつながるでしょう。

経営者や上司を変えようとする前に、まず相手を知ろうとすること。
それは、自分自身の働き方を変える第一歩になると思います。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

「人を動かす」を読んで

「人を動かす/D・カーネギー」(創元社)を読みました。読んでいて心に残った部分について書きます。

常に相手の立場に身を置き、相手の立場から物事を考える(P75より引用)

相手の立場に立った言動を心掛けることが相手との無駄な衝突を避ける。互いを尊重する姿勢で常に人と対峙すれば無用な争いは起こらない。

相互理解の橋をかける努力こそ大切(P170より引用)

相互理解のためにもまずは相手を知ろうとすること。好意的関心を自分から先に相手へ向ける。相手への歩み寄りは信頼関係の第一歩。

相手に美点を発揮させたければ、彼がその美点を備えていることにして、公然とそのように扱ってやるがよい(P298より引用)

相手の良いところを言葉にし相手に伝え、更に他者にも伝える。これにより本人が更に美点を磨く。やってもらってあたりまえにしない。

今回「人を動かす」を読んで、傾聴は関係性構築の基本であることを再認識しました。日々実践あるのみですね(^^)

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

「心に革命を起こせ」を読んで

先日、「心に革命を起こせ/田辺昇一著」を読みました。心に残ったところの引用と感想を書きます。

はしがき「会う人みな師匠」
立場や環境が違う人から得られるものも多い。今いる環境に安住するのではなくいろんな人から少しずつ学ぶ姿勢も大事

損得の勘定は早急にやるべきではない。なにが得か、損かわかるものでない。(P22)
若い時に損だと思ったことが後で役立ったことは私自身たくさんある。若い人にこそ伝えたい。

身は名もない一青年であっても、志向は高くもつべきだ。(P26)
目標を高く持ち、それに向かう努力をしてこそ、いわゆる超一流に近づく。

離陸に全力をあげよ(P40)
何事もスタートダッシュが大事。いかに早く基礎を叩き込めるか。

最近は人手不足時代である。つまり働く人が経営者を選別する逆選別時代である。(P51)
現状と重なる。中小企業は経営者のひととなりで採用出来る人材が変わってくる。

親しみやすさ、なんでも話せる気安さと権威のあるなしは矛盾しない。(P51)
トップに立つ人、人に教える立場にある人こそ信頼が大事。

目標が高ければ高いほど信念も堅くなる。継続していく力が強くなる。芸事でもなんでも、長く続けていくうちにそれが自分の血となり肉となる。「継続は力なり」である。(P59)
継続することが大事、継続することは他者からの信頼にも繋がる

人間は意思の弱い動物だから、環境に支配されやすい。(P64)
裏を返せば、良い環境へ置けば成長を促せる可能性がある。社内になければ社外の良い環境へ入れるという方法もある

ほめる点を捜すほうが、どれだけその人の能力を増すかわからない。(P67)
欠点より良い点を捜すことを常に意識する。

自分が燃えなければ他人の心に火をつけられない(P94)
自分の火を絶えず燃やし続けることで周りにも着火することが出来る。まずは自分から

言葉が信用を生むのではなく、行為が信頼を生むのである。(P128)
言行一致こそが信頼を得る。

習慣は体質を変える(P146)
習慣化出来れば、出来なかったことも出来るようになる。

時を味方にするのは、自分の努力である。(P168)
チャンスをチャンスとして活かすには日頃の努力がモノを言う。

信念は、あらゆる願望を実現させる起爆剤である。(P197)
だからこそ、自分の言葉で他者に伝える必要がある。

1986年に出版された本ですが、色褪せるどころか今こそ必要な考え方だと私は感じました。この信念と熱量を少しでも他の人に伝えたいと思います。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

「人を動かす」を読んで

「ザ・ラストマン」から子育てを考える

話すのが苦手は思い込み?

こんにちは国家資格キャリアコンサルタント上島美和です。

早速ですが苦手なことはありますか?

私は社会に出たばかりのころ、人見知りで人と話すのがものすごく苦手でした。極力人と話したくない、出来れば家で推理本読んでいたい…。

最初に配属されたのが数字と向き合う経理部で安堵したことを覚えています。

そんな私が1年も経たないうちに営業部に転属になりました。

同期たちが私の人となりを知っているからこそ、とても心配してくれたことを覚えています。

配属先は特に忙しい部署で一日中電話対応に追われました。「人と話すのが苦手です」なんてそんなことに配慮してもらえる時代ではありません。就職氷河期で採用を絞っているので社員みんなが忙しい。そんな忙しい日々が続くうちに気が付いたら電話が苦ではなくなり、電話以外でも他部署の人との話し合いなど、どんどん出来ることが増えていきました。そのうち、もっと話したり聞いたりする能力を上げたほうがいいのではと思い、自分なりに研鑽していきました。本を読んだり演劇を見たり、誰より先に電話を取ったり…。

出来るようになるためにいろいろチャレンジするのはとても面白かったです。特に演劇は話すと聞くの両方を学ぶとてもいい教材でした。話すだけではなく聞くことと両方が必要だとこのとき学びました。20代後半には話すこと聞くことが自分の強みになっていました。

この経験があるので、私は「話すのが苦手は思い込み、経験が足りないだけ」と伝えたい。苦手を言い訳にして自分の可能性を狭めるのはもったいないですよ。

迅技術経営では管理職など傾聴機会の多い方に向けた研修も行っております。

ぜひお問い合わせください。

家庭内で子どもに役割を与える

おはようございます国家資格キャリアコンサルタント上島美和です。

さっそくですがみなさんのご家庭では子どもが家事をすることはありますか?どれくらいのことを任せていますか?

仕事でもそうですが一部を切り取った作業だけをやっていても全体が分からないままではいつまでもお手伝いに留まってしまいます。ぜひ10歳くらいで何かしら一つでいいので全てをお任せしてみてください。

洗濯を例に挙げると

洗うものを分別する→洗濯機を回す→干す→畳む→片付ける

という工程があります。まずは一つずつの工程を教えます。その間にどれくらいの量になれば洗濯機を回すのか、乾くまでの時間はどのくらい必要かなどを経験として学習していきます。

全工程が出来るようになったらぜひ洗濯の責任者として任命してください。今日洗濯機を回すか、明日で大丈夫か、スケジュールまで任せます。

家庭内に役割があることは子どもの自己肯定に繋がります。興味がありましたらお試しください。

子どもを人として尊重する

こんにちは上島美和です。

梅雨入りし、少し蒸し暑くなってきましたね。最近社内でもコミュニケーションを話題にすることが多いのですがその中でよく相手を尊重するという言葉が出てきます。迅技術経営の経営理念の中にも「お互いに尊重」というのがあります。尊重とは広辞苑に「価値あるものとして大切に扱うこと」と記載されています。大人同士では尊重出来ていても、子どもに対しては皆さん相手を尊重出来ていますか?

・子どもに質問されてたとき子どもはそんなこと知らなくていいと言う

・子どもだから分からないだろうとその場しのぎで誤魔化す

・子どもに意見を聞かない、お出かけ先は親が一方的に決める

このような態度をとっていませんか?この態度は相手を尊重していると言えるのでしょうか?子どもが意見は聞いてもらえないという経験を学習して、意見をいうことを諦めてしまうのではないでしょうか?

子どもも一人の人間です。「子どもだから出来ない、分からない」と大人が決めつけないでください。人間は言葉を話せるようになったら意見も言えます。子どものころから自分の意見や考えを言える環境を周りの大人が作ってください。