「配慮」だけで人は育たない

― 子育て中の女性社員に役割を渡すという選択 ―

子育て中の女性社員に対して、「今は大変な時期だから、無理をさせない方がいい」
そう考える経営者の方は多いと思います。

もちろん、家庭との両立への配慮は必要です。
しかし、“配慮だけ”が続いた結果、本人の意欲が下がり、離職につながるケースを少なからず見聞きします。


配慮が「期待されていない」というメッセージになるとき

  • 任せてもらえなくなった
  • 大事な仕事から外されている気がする
  • 期待されていないのではないかと感じる

会社としては「負担を減らしたつもり」でも、本人にとっては「戦力として見られていない」というメッセージとして受け取られてしまうことがあります。


「できない前提」ではなく「今、できる役割」を考える

以前、長坂養蜂場さんのYouTubeで印象的な事例を目にしました。
そこでは、子育て中の女性社員に対して「できないこと」を基準に仕事を外すのではなく、「今の制約の中でも担える役割」を渡していることが紹介されていました。

「時間に制約があるから外す」ではなく、時間に制約があるからこそ、
どんな役割なら責任を持って担えるのかを考える。

この姿勢は、「無理をさせる」こととはまったく違います。

役割を渡すことは、信頼を示すこと

子育て中の女性社員は、

  • 限られた時間で成果を出す工夫
  • 優先順位を考える力
  • 周囲と調整しながら進める力

を、日常の中で磨いています。にもかかわらず、役割を与えられない状態が続くと、
「ここで頑張る意味」が見えなくなってしまいます。役割を渡すことは、期待と信頼を言葉と行動で示すことです。

役割の再設計は、経営者の仕事

子育て中の女性社員に対して、
今のライフステージに合った役割を再設計することは、
女性支援や福利厚生の話ではありません。

  • 戦力人材の離職を防ぐ
  • 経験とノウハウを社内に残す
  • 将来の中核人材を育てる

ための、経営者として極めて合理的な判断です。

小さな組織だからこそ、一人ひとりの状況を踏まえた役割設計ができます。

「配慮」と「役割」をセットで考える

配慮は必要です。しかし、配慮だけでは人は育ちません。

配慮と同時に、役割を渡す。このバランスこそが、子育て中の女性社員の安心感と意欲を生み、結果として会社の力になります。

「今は何を任せるのか」
「どんな期待をしているのか」

その言葉を、ぜひ社員に伝えてみてください。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和