条件が合っているのに、なぜか続かない

― 仕事選びは「価値観」から考えてもいい ―

「家から近いし、時間も短い。条件は悪くないはずなのに、なんだかしっくりこない…」

こんな声を聞くことがあります。

しっかり考えて選んだはずなのに、いざ始めてみると思っていたよりしんどい。
そしていつの間にか、「やっぱり私には無理だったのかな」と自分を責めてしまう。

でもその違和感は、能力や根性の問題ではないことが多いのです。

条件が合っている=続く、とは限らない

仕事を探すとき、私たちはまず「条件」に目が向きます。

  • 家から近い
  • 時間が短い
  • ブランクOK
  • 主婦歓迎
  • 給与
  • 福利厚生

生活との両立を考えると、条件を重視するのはとても自然なことです。

ただ、条件が整っていても、なぜか気持ちがついてこない仕事があります。

それは、その仕事が自分の価値観と合っていないというサインかもしれません。


仕事が続くかどうかは「価値観」との相性

仕事を続ける力になるのは、スキルや経験だけではありません。

大きいのは、自分が大切にしていることと、その仕事が合っているかです。

たとえば、

  • 人の役に立っていると感じたい
  • 誰かに感謝されると嬉しい
  • 周りと協力しながら進めたい
  • 一人で黙々と取り組む方が落ち着く
  • 決められたことをきちんと守る方が安心できる

これらはすべて、価値観です。

どれが正しい、ということはありません。
自分がどこに心地よさを感じるかが大切です。

内発的な動機は、価値観から生まれる

「内発的な動機」というと、何か立派な目標や、強い意欲を想像するかもしれません。

でも実際には、内発的な動機はとても身近なところにあります。

  • ありがとうと言われると、もう少し頑張ろうと思える
  • 誰かの困りごとを整理するのが苦じゃない
  • 仕組みを整えると、気持ちがスッとする

こうした感覚は、自分の価値観が満たされているサインです。

仕事が続く理由は、「好きだから」だけではありません。

「自分の大切にしていることが、ここでは活かされている」
そう感じられるかどうかが、大きな分かれ道になります。

価値観は、動く中で見えてくる

「自分の価値観が分からない」そう感じる方も多いと思います。

でも、価値観は頭の中で考え続けて見つかるものではありません。

就職イベントで企業の話を聞いてみて、「この考え方、好きだな」と感じたり。

実際に働いてみて、「この環境は少ししんどいな」と違和感を覚えたり。

そうした感情の動きが、価値観を教えてくれます。


情報を見るときは「条件+価値観」で考える

情報を集めるときは条件だけで判断するのではなく、
自分の価値観に合いそうかという視点を加えてみてください。

  • この職場の雰囲気は、落ち着きそうか
  • この企業の考え方は、自分に合いそうか
  • ここで働く自分を、無理なく想像できるか

答えがはっきり出なくても構いません。
「少し気になる」「なんとなく嫌じゃない」
その感覚が大切です。

仕事選びは、能力テストではない

仕事を選ぶとき、「できる・できない」で考えすぎてしまう方は少なくありません。

でも、仕事選びは能力テストではありません。

自分の価値観に 合わない仕事が続かなかったとしても、
それは失敗ではなく自分を知るための大切な経験です。

価値観に目を向けることで、次の選択は、少し楽になります。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

働こうかな、と思ったときに立ち止まってしまうあなたへ

― 不安の正体は、覚悟不足ではありません ―

「そろそろ働こうかな」
そんな言葉を私は小学校の保護者との何気ない会話の中で何度も耳にしてきました。

授業参観の帰りや行事の準備の合間、立ち話の中でふっとこぼれるように出てくる一言です。

「本気で決めた」というよりも、気にはなっているけれどまだ自信はない。
そんな温度感の言葉だと感じています。

働きたい気持ちはある。でも、動けない

そのあとに続く言葉もだいたい同じです。

「今さらできる仕事、あるのかな」
「ブランクも長いし…」
「家事育児とうまく両立できるかな」

働きたい気持ちはある。
家計のことも、子どもの成長も、将来のことも、頭のどこかにある。
それでも、なぜか一歩が踏み出せない。

そんな自分を見て、
「覚悟が足りないのかな」
「自分が甘いだけかもしれない」
そう思ってしまう方も少なくありません。

私は、その言葉を聞くたびに思います。
それは甘えでも、覚悟不足でもありません。

不安の正体は「能力」ではなく「情報不足」

これから働こうとする主婦の方が感じる不安には、共通点があります。

  • ブランクがあることへの不安
  • 家族や職場に迷惑をかけてしまうのでは、という気持ち
  • 仕事選びを間違えたら取り返しがつかないのでは、という怖さ

どれも、とてもまっとうな感情です。
そして実は、こうした不安の多くは、自分に能力がないからではなく、情報が足りないことから生まれています。

ネットで検索すれば、
「主婦におすすめの仕事」
「ブランクOK」
といった情報はいくらでも見つかります。

それでも不安が消えないのは、
その情報が「自分の場合どうなのか」まで教えてくれないからです。

真の情報は、ネットだけでは集まらない

情報を集めるというと、まずネット検索を思い浮かべる方が多いかもしれません。

けれど、
ネットの情報をそのまま鵜呑みにしても、自分に合った答えが見つかるとは限りません。

大切なのは、誰かの正解を集めることではなく自分にとっての判断材料を増やすことです。

そのためには、自分が少し動いてみることが欠かせません。

自分が動くことでしか得られない情報がある

求人情報やネットの記事を読むだけでは、どうしても分からないことがあります。

たとえば、
・実際の職場の雰囲気
・どんな人が働いているのか
・企業がどんな思いで人を採用しようとしているのか

こうしたことは、自分が動かなければ得られない情報です。

就職イベントに足を運び、企業の担当者から直接話を聞いてみる。
質問をしてみる。言葉の選び方や、表情、場の空気を感じ取る。

それだけでも、
「ここは自分に合いそう」
「ここは少し違うかもしれない」
そんな感覚が、少しずつ見えてきます。

情報を集めながら、選び直していける

短時間の仕事を選ぶこと。
期間が決まっている仕事から始めること。

それらもすべて、
自分に合う働き方を知るための大切な情報になります。

実際にやってみて、
「思っていたのと違った」と感じることがあっても構いません。
それは失敗ではなく、
次の選択を考えるための材料が一つ増えただけです。

動けないのは、あなたが真剣だから

もし今、立ち止まっているとしたら
それは「どうでもいい」からではなく、家族のことも、自分のこれからも、大切にしたいと思っているから。

完璧に調べてから動こうとすると、いつまでもスタートできません。

でも、情報を取りに行き、自分で確かめながら進んでいけば選択は何度でも見直せます。

働くことは、試験ではありません。
間違えないことよりも、考えながら、選び直せることのほうが大切です。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和