働こうかな、と思ったときに立ち止まってしまうあなたへ

― 不安の正体は、覚悟不足ではありません ―

「そろそろ働こうかな」
そんな言葉を私は小学校の保護者との何気ない会話の中で何度も耳にしてきました。

授業参観の帰りや行事の準備の合間、立ち話の中でふっとこぼれるように出てくる一言です。

「本気で決めた」というよりも、気にはなっているけれどまだ自信はない。
そんな温度感の言葉だと感じています。

働きたい気持ちはある。でも、動けない

そのあとに続く言葉もだいたい同じです。

「今さらできる仕事、あるのかな」
「ブランクも長いし…」
「家事育児とうまく両立できるかな」

働きたい気持ちはある。
家計のことも、子どもの成長も、将来のことも、頭のどこかにある。
それでも、なぜか一歩が踏み出せない。

そんな自分を見て、
「覚悟が足りないのかな」
「自分が甘いだけかもしれない」
そう思ってしまう方も少なくありません。

私は、その言葉を聞くたびに思います。
それは甘えでも、覚悟不足でもありません。

不安の正体は「能力」ではなく「情報不足」

これから働こうとする主婦の方が感じる不安には、共通点があります。

  • ブランクがあることへの不安
  • 家族や職場に迷惑をかけてしまうのでは、という気持ち
  • 仕事選びを間違えたら取り返しがつかないのでは、という怖さ

どれも、とてもまっとうな感情です。
そして実は、こうした不安の多くは、自分に能力がないからではなく、情報が足りないことから生まれています。

ネットで検索すれば、
「主婦におすすめの仕事」
「ブランクOK」
といった情報はいくらでも見つかります。

それでも不安が消えないのは、
その情報が「自分の場合どうなのか」まで教えてくれないからです。

真の情報は、ネットだけでは集まらない

情報を集めるというと、まずネット検索を思い浮かべる方が多いかもしれません。

けれど、
ネットの情報をそのまま鵜呑みにしても、自分に合った答えが見つかるとは限りません。

大切なのは、誰かの正解を集めることではなく自分にとっての判断材料を増やすことです。

そのためには、自分が少し動いてみることが欠かせません。

自分が動くことでしか得られない情報がある

求人情報やネットの記事を読むだけでは、どうしても分からないことがあります。

たとえば、
・実際の職場の雰囲気
・どんな人が働いているのか
・企業がどんな思いで人を採用しようとしているのか

こうしたことは、自分が動かなければ得られない情報です。

就職イベントに足を運び、企業の担当者から直接話を聞いてみる。
質問をしてみる。言葉の選び方や、表情、場の空気を感じ取る。

それだけでも、
「ここは自分に合いそう」
「ここは少し違うかもしれない」
そんな感覚が、少しずつ見えてきます。

情報を集めながら、選び直していける

短時間の仕事を選ぶこと。
期間が決まっている仕事から始めること。

それらもすべて、
自分に合う働き方を知るための大切な情報になります。

実際にやってみて、
「思っていたのと違った」と感じることがあっても構いません。
それは失敗ではなく、
次の選択を考えるための材料が一つ増えただけです。

動けないのは、あなたが真剣だから

もし今、立ち止まっているとしたら
それは「どうでもいい」からではなく、家族のことも、自分のこれからも、大切にしたいと思っているから。

完璧に調べてから動こうとすると、いつまでもスタートできません。

でも、情報を取りに行き、自分で確かめながら進んでいけば選択は何度でも見直せます。

働くことは、試験ではありません。
間違えないことよりも、考えながら、選び直せることのほうが大切です。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

条件が合っているのに、なぜか続かない

― 仕事選びは「価値観」から考えてもいい ―

「家から近いし、時間も短い。条件は悪くないはずなのに、なんだかしっくりこない…」

こんな声を聞くことがあります。

しっかり考えて選んだはずなのに、いざ始めてみると思っていたよりしんどい。
そしていつの間にか、「やっぱり私には無理だったのかな」と自分を責めてしまう。

でもその違和感は、能力や根性の問題ではないことが多いのです。

条件が合っている=続く、とは限らない

仕事を探すとき、私たちはまず「条件」に目が向きます。

  • 家から近い
  • 時間が短い
  • ブランクOK
  • 主婦歓迎
  • 給与
  • 福利厚生

生活との両立を考えると、条件を重視するのはとても自然なことです。

ただ、条件が整っていても、なぜか気持ちがついてこない仕事があります。

それは、その仕事が自分の価値観と合っていないというサインかもしれません。


仕事が続くかどうかは「価値観」との相性

仕事を続ける力になるのは、スキルや経験だけではありません。

大きいのは、自分が大切にしていることと、その仕事が合っているかです。

たとえば、

  • 人の役に立っていると感じたい
  • 誰かに感謝されると嬉しい
  • 周りと協力しながら進めたい
  • 一人で黙々と取り組む方が落ち着く
  • 決められたことをきちんと守る方が安心できる

これらはすべて、価値観です。

どれが正しい、ということはありません。
自分がどこに心地よさを感じるかが大切です。

内発的な動機は、価値観から生まれる

「内発的な動機」というと、何か立派な目標や、強い意欲を想像するかもしれません。

でも実際には、内発的な動機はとても身近なところにあります。

  • ありがとうと言われると、もう少し頑張ろうと思える
  • 誰かの困りごとを整理するのが苦じゃない
  • 仕組みを整えると、気持ちがスッとする

こうした感覚は、自分の価値観が満たされているサインです。

仕事が続く理由は、「好きだから」だけではありません。

「自分の大切にしていることが、ここでは活かされている」
そう感じられるかどうかが、大きな分かれ道になります。

価値観は、動く中で見えてくる

「自分の価値観が分からない」そう感じる方も多いと思います。

でも、価値観は頭の中で考え続けて見つかるものではありません。

就職イベントで企業の話を聞いてみて、「この考え方、好きだな」と感じたり。

実際に働いてみて、「この環境は少ししんどいな」と違和感を覚えたり。

そうした感情の動きが、価値観を教えてくれます。


情報を見るときは「条件+価値観」で考える

情報を集めるときは条件だけで判断するのではなく、
自分の価値観に合いそうかという視点を加えてみてください。

  • この職場の雰囲気は、落ち着きそうか
  • この企業の考え方は、自分に合いそうか
  • ここで働く自分を、無理なく想像できるか

答えがはっきり出なくても構いません。
「少し気になる」「なんとなく嫌じゃない」
その感覚が大切です。

仕事選びは、能力テストではない

仕事を選ぶとき、「できる・できない」で考えすぎてしまう方は少なくありません。

でも、仕事選びは能力テストではありません。

自分の価値観に 合わない仕事が続かなかったとしても、
それは失敗ではなく自分を知るための大切な経験です。

価値観に目を向けることで、次の選択は、少し楽になります。

国家資格キャリアコンサルタント 上島美和

就職先を決める前に、考えてほしいこと

~迅技術経営が採用活動で「壁打ち」を大切にする理由~

これから社会に出る皆さんは、就職先を選ぶとき、何を大切にしていますか?
給与、休日、福利厚生、勤務地、企業の知名度、安定性。
どれも大切な条件です。

もちろん、自分が興味を持っている業界や職種から就職先を探している方も多いと思います。

では、少し違った質問をしてみます。
「あなたは、これからの人生で何を成し遂げたいですか?」
急にそう聞かれると、答えに困る方も多いのではないでしょうか。

実は、迅技術経営では採用活動の中で、この問いについて考えていただく機会を設けています。

それが「壁打ち」です。

迅技術経営の「壁打ち」とは?

迅技術経営では採用過程の前に、希望される方を対象とした「壁打ち」を実施しています。

壁打ちとは、自分の考えや思いを相手に話し、対話を通じて自分自身の考えを整理したり、深めたりすることです。
当社では、社員が壁となり、求職者の方と1回1~2時間程度、全3回を目安に対話を行っています。

壁打ちの目的は、当社への入社を勧めることでも、面接で良い評価を得るための答えを一緒に考えることでもありません。

「これからの人生の中で成し遂げたいこと」を考えるきっかけにしていただくこと。
これが一番の目的です。

何を大切にして生きていきたいのか。
どんなことに喜びや、やりがいを感じるのか。
誰のために、どんなことをしたいのか。

これまでの経験を振り返りながら、自分自身と向き合っていただきます。

すぐに答えを見つける必要はありません。
大切なのは、誰かに用意された答えではなく、自分自身で考えることです。

就職活動のゴールは、内定をもらうこと?

就職活動が始まると、エントリーシートを書いたり、面接の練習をしたりと、忙しい日々が続くと思います。
周囲の友人が内定をもらい始めると、焦ることもあるでしょう。
そんな中で、いつの間にか「内定をもらうこと」が目的になってしまうことはないでしょうか。

しかし、就職はゴールではありません。
むしろ、社会人としての人生のスタートです。

希望する会社に就職できたとしても、そこで何をしたいのかがわからなければ、そこにいる意味が分からなくなる。

反対に、自分が大切にしたい価値観や、成し遂げたいことがある程度見えていれば、企業の知名度や待遇だけではない視点で就職先を選べるのではないでしょうか。

大企業に入ることだけが成功ではありません。
中小企業にも、若いうちからさまざまな仕事に挑戦できたり、経営者やお客様との距離が近かったりする魅力があります。
また、就職以外にも、起業や家業を継ぐといった選択肢があるかもしれません。

大切なのはどの道が一般的に評価されるかではなく、自分が何を大切にしてその道を選ぶのかということです。

採用活動に、なぜ時間をかけるのか

企業の採用活動というと、書類選考や面接を通じて、自社に合う人材を見極めることが一般的だと思います。

企業側にとって、採用活動にかけられる時間には限りがあります。
その中で、迅技術経営では壁打ちという形で、一人ひとりとの対話に時間をかけています。しかも、壁打ちをした方が必ず当社に入社するとは限りません。

それでも、なぜ時間をかけるのでしょうか。

私は、採用活動は企業が人を選ぶだけの場ではなく、求職者が企業を選ぶ場でもあると思っています。
企業にとっては多くの採用活動の一つかもしれませんが、学生の皆さんにとって、初めての就職先を選ぶことは人生の大きな意思決定です。

だからこそ、企業のことを十分に知ってほしい。
そして、それと同じくらい、自分自身についても深く考えてほしい。

どんな仕事をするのかだけでなく、その仕事を通じて何を実現したいのか。
会社が求める人物像に自分を合わせるのではなく、自分が目指す未来と会社が目指す未来に重なる部分があるのか。
そんなことを考えたうえで、納得して就職先を選んでほしいのです。

時間はかかりますが、その過程には大きな意味があると考えています。

採用につながらなくても、無駄にはならない

迅技術経営の壁打ちは、正式な採用選考とは別の段階で行っています。

そのため、壁打ちを通じて自分自身の考えが整理された結果、当社以外の道を選ぶ方もいます。それでも構わないのです。

私たちが大切にしているのは、当社に入社してもらうことだけではありません。

一人でも多くの人が自分の人生について考えるきっかけを持ち、自分の意思で次の一歩を踏み出していくことにも価値があると考えています。

迅技術経営には「共育恩送®」という大切にしている考え方があります。
人は誰かとの出会いや、誰かから受けた支援によって成長することがあります。
そして、自分が受け取ったものを、今度は別の誰かに送っていく。

壁打ちを通じて得た気づきが、数年後、誰かの人生を支えることにつながるかもしれません。そのように考えると、採用につながらなかったからといって、かけた時間が無駄になるわけではないと思うのです。

また、学生の皆さんとの対話は、壁打ちを担当する社員にとっても学びの機会になります。異なる価値観や経験を持つ人の話に耳を傾け、理解しようとすることは、自分自身の視野を広げることにもつながります。
まさに、共に育つ機会なのだと思います。

自分の人生を、他人任せにしないでほしい

私はキャリアコンサルタントとして、皆さんに伝えたいことがあります。
それは、「自分の人生の経営者は、自分自身である」ということです。

これから社会に出ると、さまざまな選択をすることになります。
仕事、転職、結婚、子育て、住む場所、働き方。
人生には何度も意思決定の機会があります。

そのたびに、周囲の意見や世間の常識が気になることもあるでしょう。

もちろん、誰かに相談することは大切です。
しかし、最終的に自分の人生を引き受けるのは、自分自身です。

だからこそ、周囲が良いと言う会社だから、親が安心するから、友人が目指しているから、という理由だけで進路を決めてほしくないのです。

自分が大切にしたいことは何なのか。
自分はどう生きていきたいのか。

今、明確な答えがなくても構いません。

これからの経験や出会いによって、考えが変わることもあるでしょう。
それでも、自分自身に問い続けることには意味があると思います。

これから社会に出る皆さんへ

皆さんは、これから多くの人と出会い、さまざまな経験を重ねていくことでしょう。
その中には、自分の価値観が大きく変わるような出会いもあるかもしれません。

就職活動は、企業から選ばれるためだけの時間ではありません。
自分がどのように生きたいのかを考え、そのための環境を自分で選ぶ時間でもあります。

だからこそ、企業の名前や条件だけでなく、その会社が何を大切にしているのか、そこで働く人たちがどんな思いで仕事をしているのかにも目を向けてほしいと思います。

そして、自分自身について考える時間も、ぜひ大切にしてください。
迅技術経営の壁打ちが、そのきっかけの一つになれば嬉しく思います。

就職先を決めることよりも、もっと長いこれからの人生。
その人生を、自分自身の意思で歩んでいってほしいと願っています。

キャリアコンサルタント上島美和

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