管理職になってから気づく、研修の本当の価値

「研修を受けても、時間が経てば内容を忘れてしまうからあまり意味がない。」
そんな声を耳にすることがあります。
確かに、研修で学んだ知識や手法は、実践しなければ少しずつ薄れてしまうかもしれません。しかし、管理職になって初めて「あの研修を受けていて良かった」と実感するものがあります。

それは、部署を超えた仲間とのつながりです。

管理職になると、自部署だけを見ていれば仕事が進むということはほとんどありません。
製造、品質管理、営業、総務など、それぞれの部署と連携しながら、会社全体の最適を考えて判断する場面が増えていきます。

そんなとき、大きな支えになるのが、研修で一緒に学んだ他部署の仲間の存在です。

「少し相談してもいい?」
「現場ではどう考えている?」
「こういう改善を考えているけど、そっちの部署にどんな影響がある?」
「この件、一緒に考えて欲しいんだけど…」

こうした一言が自然に言える関係性は、日々の業務だけではなかなか築けるものではありません。

研修という場で同じ課題について考え、意見を交わし、お互いの価値観や立場を理解した経験があるからこそ、生まれる信頼関係があります。

私たちが実施している次世代管理職研修でも、知識を身につけることはもちろん大切にしています。
しかし、それと同じくらい大切にしているのが、「対話」です。

一人で考えるだけではなく、異なる部署の仲間と意見を交わし、互いの考え方や背景を知ることで、自部署の視点だけでは見えなかった気づきが生まれます。
そして、その時間をともに過ごした仲間は、数年後、管理職として組織を支える立場になったとき、かけがえのない存在になります。

管理職は、ときに孤独です。

判断に迷うこともあれば、正解のない課題に向き合わなければならないこともあります。そんなとき、「あの人に相談してみよう」と思える相手が他部署にいることは、大きな安心感につながります。

それは、単なる”顔見知り”ではありません。一緒に学び、考え、悩んだ経験があるからこその信頼です。研修の成果は、受講直後のアンケートだけでは測れません。

数年後、部署の垣根を越えて管理職同士が自然に相談し合い、協力し合える組織になっていること。

それこそが、研修が企業にもたらす本当の価値ではないでしょうか。

知識やスキルは、組織を動かすために欠かせません。しかし、それらを生かすのは「人と人との信頼関係」です。

私は、次世代管理職研修を、管理職を育てる場であると同時に、未来の組織を支え合う仲間を育む場でもあると考えています。
管理職になってから気づく研修の本当の価値は、テキストの中ではなく、人とのつながりの中にあるのかもしれません。

人は一人では組織を変えられません。

だからこそ、未来の管理職同士が支え合える関係を、研修の中で育てていきたい。
私は、そんな想いを大切にしながら、一人ひとりの成長と、組織の未来づくりを支援していきます。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

子育て中の人にこそ知ってほしい「傾聴」の力

子育てをしていると、「ちゃんと話を聞いているのに、どうしてうまくいかないんだろう。」そんなふうに感じることはありませんか。
私は国家資格キャリアコンサルタントとして学ぶ中で、「傾聴」という考え方に出会いました。
傾聴は、ただ相手の話を聞くことではありません。
「相手が安心して自分らしく話せる関わり方」です。

この考え方を提唱したのが、アメリカの心理学者、カール・ロジャーズです。
ロジャーズは、「人は本来、自ら成長し、より良くなろうとする力を持っている」と考えました。その力を引き出すために大切なのが、相手を尊重し、安心して話せる関係を築くことだと説いています。

私はこの考え方は、キャリア支援だけではなく、子育てにもそのまま当てはまると感じています。

傾聴の3つの姿勢

ロジャーズは、相手と関わる上で大切な姿勢として、「受容」「共感」「自己一致」の3つを挙げています。

受容

受容とは、相手を評価したり否定したりせず、「あなたはそう感じたんだね」と、まずはありのまま受け止めることです。
子どもが学校で嫌なことがあったと話したとき、すぐに励ましたり解決策を伝えたりする前に、その気持ちを受け止める。
それだけで子どもは、「分かってもらえた」という安心感を得られます。

共感

共感とは、「かわいそう」と思うことではありません。
子どもの立場に立ち、「どんな気持ちだったのかな」と理解しようと努める姿勢です。
親にとっては小さな出来事でも、子どもにとっては人生で初めて経験する大きな出来事かもしれません。
子どもの世界を、子どもの目線で見ようとすることが共感です。

自己一致

自己一致とは、自分の気持ちをごまかさず、自然体でいることです。
親だからといって、いつも笑顔で完璧でいる必要はありません。
疲れている日には、「今は少し疲れているから、夕食の後にゆっくり話を聞かせてね。」
と素直に伝えることも大切です。無理をして笑顔を作るよりも、誠実に向き合う姿勢が、子どもとの信頼関係につながります。

子どもには、自分で育つ力がある

親は、子どもに多くのことを教えようとします。もちろん、それも大切です。
でも、ロジャーズが信じたように、人には本来、自ら成長する力があります。
親の役割は、その力を信じ、安心して挑戦できる環境を整えることなのかもしれません。

子どもの話を最後まで聴く。
気持ちを受け止める。
一緒に考える。

その積み重ねが、「自分は大切にされている」という自己肯定感につながり、自分で考え、自分で選び、自分の人生を歩む力を育てていきます。

子どもは、聴いてもらえた経験を力に変えます。
そして、その経験は将来、家庭や職場など、さまざまな人間関係の中で受け継がれていくでしょう。
忙しい毎日だからこそ、ほんの5分でも、子どもの話を最後まで聴いてみる。
その時間が、子どもの未来への大切な投資になると私は信じています。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和