「何か資格を取ったほうがいいでしょうか?」
キャリアの相談をお受けてしていると、こうした話題になることがよくあります。
子育てが少し落ち着いたとき、ふとこれからのキャリアや将来のことを考えると、急に不安になることがありますよね。
「今の働き方のままで大丈夫かな……」
「ブランクがあるから、何か資格を持っていたほうが安心かも」
そんな気持ちから資格取得を考えるのは、ごく自然なことです。
もちろん、資格を取るために勉強して知識を身につけたり、新しい仕事に挑戦するきっかけにしたりすることは、とても素晴らしいことです。
ただ、私は「将来が不安だから、とりあえず何か資格を取ろう」という考え方は、あまりおすすめしていません。なぜなら、資格はあくまでも「目的を達成するための手段」のひとつだからです。
「資格があれば安心」のワナ
資格を取ったからといって、100%仕事に困らなくなる保証があるわけではありません。収入が上がる保証があるわけでもありません。
むしろ、自分の未来への不安を埋めるために資格を取ると、
「この資格だけでは足りないかもしれない」
「もう一つ資格を取ったほうが安心かも……」
と、不安を埋めるために次々と資格を探す「資格迷子」になってしまうことも。
だからこそ、資格を探す前に一度、考えてみてほしいことがあります。
それは、「自分はこれから、どんな働き方をしたいのか(何を成し遂げたいのか)」ということです。
資格を取っただけでは、仕事にはならない
例えば、弊社に所属している「中小企業診断士」や「国家資格キャリアコンサルタント」どちらも専門的な知識や技能を身につけることのできる魅力的な資格です。
一方で、これらは「持っていれば自動的に仕事がもらえる」という性質の資格ではありません。
中小企業診断士の資格を取っても、それだけで経営者から相談が来るわけではありません。
- どんな社会課題を解決したいのか
- どんな企業(または個人事業主)を支援したいのか
- 自分のこれまでの経験と、知識をどう組み合わせるのか
資格を取得した「その先」を考える必要があります。
これは、キャリアコンサルタントも同じです。一口にキャリアコンサルタントと言っても、実は活動する場所(領域)はさまざまです。
- 企業領域:従業員のキャリア形成や人材育成に関わる
- 需給調整領域:ハローワークや職業紹介などで就職を支援する
- 教育領域:学校などで学生の就職やキャリアを支援する
- 地域・福祉領域:地域の支援機関などで一人ひとりの状況に応じた支援を行う
どの領域で活動するかによって、必要とされる知識や経験は大きく変わってきます。
つまり、資格を取ること自体がゴールではありません。
「誰をどこで支援したいのか」「どんな価値を届けたいのか」。そこまで考えて初めて、資格取得後に何を学び、どんな経験を積んでいく必要があるのかが見えてきます。
「目的が先、資格は後」
自分が「成し遂げたいこと」が先にあり、そのための手段として資格を選ぶのであれば、資格取得には大きな意味があります。
目指すべき正しい順番は、こうです。
- 成し遂げたいこと(理想の働き方・やりたいこと)がある
- そのために必要な知識や経験を考える
- 必要なら資格を取る
「不安だから資格を探す」という逆の順番になっていませんか?
安定は、資格ではなく「自分の中」につくる
資格そのものが、あなたの未来をずっと保証してくれるわけではありません。
知識を身につけること。経験を積むこと。人とのつながりをつくること。自分で考え、意思決定すること。そして、学んだことを少しずつでも実際の仕事や生活で使っていくこと。
こうした「自分自身の経験の積み重ね」こそが、結果としてこれからのキャリアの頑丈な土台(安定)をつくっていきます。
もし、「資格を取るなら、何がおすすめですか?」と聞かれたら、私は資格の名前を答える前に、こう聞くと思います。
「資格を取って、あなたはどんなことをしてみたいですか?」
必要なのは、資格かもしれないし、現場での実務経験かもしれません。今の環境で新しい仕事に挑戦することや、新しいコミュニティに飛び込んでみることかもしれません。
「私は、この資格を使って何を成し遂げたいのだろう?」
時間もお金も限られているからこそ、資格の勉強を始める前に、ぜひ一度自分に問いかけてみてくださいね。その答えがあって初めて、資格はあなたの未来を切り拓くための、心強い味方になってくれるはずです。