孟子 金谷治著
石川県で理念経営を実践し、士業が組織として中小企業支援を行うことを目指す中小企業診断士西井克己です。
四書の1つ「孟子」。今回は、金谷治著 孟子 岩波新書を読んでみました。
全体的な感想としては、孔子の思想をつぐ賢人として知られる孟子ですが、
孟子のすぐれた人格が、一種の悲壮感を帯びて浮き出てくる こんな切り口で論じられており、
とても興味深く感じました。
この本は、初版が1966年で、2015年で25刷となっており、長く愛されている本になっている理由をなんとなく感じ取ることができました。
面白いと感じた部分は2つあり、1つは序説もう1つは第7章 理想主義の勝利の一節です。
引用開始
序説
「しかし、かれもまた希望を持ち、またその挫折に悩む、同じ人間であった。孔子の教えを受けついで高い理想をかかげ、その高さゆえに現実世界に受け容れられないで、敗退をよぎなくされた運命的な歩み、その崇高な姿が「孟子」の中にさまざまと表れている。」
第7章
「先生の理想はあまりにも高い、人を教えるのにもっとレベルをさげて引きつけるようにしてはどうか。とあるとき門人の公孫丑はうったえた。
「先生の主張される道は高尚で立派です。まるで天に上るかのようで、門人たちはとても達成できないように思われています。少し程度をひき下げて、かれらが達成できると考えて毎日の努力を積んでいけるように、どうしてなさらないのですか。」
孟子は答える。「すぐれた大工の頭領はへたな大工のためにといって、定規を改めたり使わなかったりはしない。弓の名人の羿はまずい射手のためといって、弓ひくきまりを変えはしない。教育の方法にも決まりがある。君子はただ中正の道に従って立っているだけで、才能のある者がそれについていくというのが、そのありかただ。」
引用終わり
現代の社員教育の課題となっていることが、2千年以上前にも同じであることに人間の本質は何も変わっていないことを改めて知ることができました。
現代においては、バランスということが大切にされています。最初から小さくまとまって、バランスをとるのと、大きく振り切った上でバランスを取る。
本質的にバランスが活きるのは後者なのでは、と強く感じました。
2千年以上前の方の思いを、ペンの力を通じて、知ることができる。
強い思いで妥協をしなかったからこそ、その教えが受け継がれている。
ペンの力のすごさと、思いを強くすることの大切さを感じました。
未経験だけど中小企業診断士事務所で働きたいという方へ これまでお伺いしてきた質問を以下のページにまとめてみました。ご興味のある方はご覧ください。