子育て中の人にこそ知ってほしい「傾聴」の力

子育てをしていると、「ちゃんと話を聞いているのに、どうしてうまくいかないんだろう。」そんなふうに感じることはありませんか。
私は国家資格キャリアコンサルタントとして学ぶ中で、「傾聴」という考え方に出会いました。
傾聴は、ただ相手の話を聞くことではありません。
「相手が安心して自分らしく話せる関わり方」です。

この考え方を提唱したのが、アメリカの心理学者、カール・ロジャーズです。
ロジャーズは、「人は本来、自ら成長し、より良くなろうとする力を持っている」と考えました。その力を引き出すために大切なのが、相手を尊重し、安心して話せる関係を築くことだと説いています。

私はこの考え方は、キャリア支援だけではなく、子育てにもそのまま当てはまると感じています。

傾聴の3つの姿勢

ロジャーズは、相手と関わる上で大切な姿勢として、「受容」「共感」「自己一致」の3つを挙げています。

受容

受容とは、相手を評価したり否定したりせず、「あなたはそう感じたんだね」と、まずはありのまま受け止めることです。
子どもが学校で嫌なことがあったと話したとき、すぐに励ましたり解決策を伝えたりする前に、その気持ちを受け止める。
それだけで子どもは、「分かってもらえた」という安心感を得られます。

共感

共感とは、「かわいそう」と思うことではありません。
子どもの立場に立ち、「どんな気持ちだったのかな」と理解しようと努める姿勢です。
親にとっては小さな出来事でも、子どもにとっては人生で初めて経験する大きな出来事かもしれません。
子どもの世界を、子どもの目線で見ようとすることが共感です。

自己一致

自己一致とは、自分の気持ちをごまかさず、自然体でいることです。
親だからといって、いつも笑顔で完璧でいる必要はありません。
疲れている日には、「今は少し疲れているから、夕食の後にゆっくり話を聞かせてね。」
と素直に伝えることも大切です。無理をして笑顔を作るよりも、誠実に向き合う姿勢が、子どもとの信頼関係につながります。

子どもには、自分で育つ力がある

親は、子どもに多くのことを教えようとします。もちろん、それも大切です。
でも、ロジャーズが信じたように、人には本来、自ら成長する力があります。
親の役割は、その力を信じ、安心して挑戦できる環境を整えることなのかもしれません。

子どもの話を最後まで聴く。
気持ちを受け止める。
一緒に考える。

その積み重ねが、「自分は大切にされている」という自己肯定感につながり、自分で考え、自分で選び、自分の人生を歩む力を育てていきます。

子どもは、聴いてもらえた経験を力に変えます。
そして、その経験は将来、家庭や職場など、さまざまな人間関係の中で受け継がれていくでしょう。
忙しい毎日だからこそ、ほんの5分でも、子どもの話を最後まで聴いてみる。
その時間が、子どもの未来への大切な投資になると私は信じています。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

今日からできる、小さな習慣

「お母さん、今日ね~…」
「お父さん、聞いて!」
子どもは毎日、私たちにたくさんの話をしてくれます。
でも夕方は、一日の中でも特に忙しい時間帯です。
夕飯の支度に、洗濯、お風呂の準備、明日の予定の確認…。
子どもの話を聞きながらも、頭の中は次にやることでいっぱいになってしまうこともあります。

私自身も、そんな毎日を過ごしてきました。
だからこそ思うのです。

子どもに必要なのは、何時間も一緒に過ごすことではなく、「今、この子に向き合おう」と意識する時間なのではないかと。

目を見て話すということ

子どもが話しかけてきたら、ほんの少しだけ手を止めてみる。
そして、子どもの目を見て話を聞く。
「そうなんだね。」
「それでどうしたの?」
「嬉しかったんだね。」

たった30秒でも、1分でも構いません。
目を見て話を聞いてもらえた子どもは、「ちゃんと受け止めてもらえた」と感じます。

一方で、「うん、うん」と返事をしながらスマートフォンを見ていたり、料理を続けながら話を聞いていたりすると、言葉では返事をしていても、「聞いてもらえなかった」と感じることがあります。

子どもは、親の視線や表情から、「自分に関心を向けてくれているか」を敏感に感じ取っています。

忙しいからこそ、質を大切に

「もっと子どもと向き合う時間をつくってあげたい。」
そう思う親は多いと思います。

でも、一日は誰にとっても24時間。
仕事をしていても、専業主婦でも、子育て中は誰もが忙しいものです。
だから私は、「時間の長さ」よりも「時間の質」を意識したいと思っています。

10分間なんとなく一緒にいるよりも、1分間しっかり目を見て話す。
その1分が、子どもにとっては「自分は大切にされている」という安心感につながります。

子どもの心に残るもの

子どもは、大人になって「どんな話をしたか」を細かく覚えているわけではありません。
でも、
「お母さんが笑顔で聞いてくれた。」
「お父さんが最後まで話を聞いてくれた。」
そんな記憶は、不思議と心に残るものです。

安心して話せる経験を積み重ねることが、「自分は大切な存在なんだ」という自己肯定感にもつながっていくのではないでしょうか。

特別なことをする必要はありません。

高価なおもちゃや毎週のお出かけよりも、子どもは親との何気ない時間を大切にしています。

だから今日から、一つだけ意識してみませんか。
子どもが話しかけてきたら、少しだけ手を止める。
そして、子どもの目を見て話を聞く。

たったそれだけのことです。

忙しい毎日だからこそ、「一緒にいる時間」を増やすことは難しいかもしれません。
でも、「向き合う時間」の質は、自分で変えることができます。

子どもの話を最後まで聞く。
目を見て、「そうなんだね」と受け止める。

一見すると、とても小さなことです。
でも、その積み重ねが、「自分の話を聞いてもらえた」という安心感を育みます。

安心して自分の気持ちを話せる子どもは、自分で考え、自分で選び、自分の言葉で伝えられる大人へと成長していきます。

今日からできる、小さな習慣。
子どもの目を見て話すことから始めてみませんか。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

その価値観、本当にあなたのもの?

子育てをしていると、たくさんの「こうしたほうがいい」に出会います。


「子どもが3歳になるまでは、お母さんがそばにいたほうがいい」
「いや、1歳になったら働いたほうがいい」
「早く保育園に入れたほうが、協調性が身につく」
「学童に預けるなんて、かわいそう」

子どもが成長しても、それは終わりません。

「仕事をしてもいいけれど、女性なんだから家事や育児を優先すべき」
「女性はサポート業務のほうが向いている」
「女性は公の場で発言を慎むべき」
「リーダーは男性のほうが向いている」

こうした言葉を、親や配偶者、友人、職場の人などから聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

でも、一度考えてみてほしいのです。

今あなたがこうしたほうがいいと思っているその価値観、本当にあなた自身のものでしょうか?

「そういうものだ」と思い込んでいないか

人は、周囲から何度も同じことを言われていると、それをいつの間にか「当たり前」だと思うようになります。

「母親ならこうするもの」
「女性ならこうするもの」
「子どものためにはこうするもの」

そして、本当は自分がどうしたいのかを考える前に、「そうしなければならない」と思ってしまうことがあります。

もちろん、子どもが小さいうちは仕事をせず、そばで成長を見守るという選択も素敵です。
早い時期から仕事に復帰するという選択も素敵です。
学童を利用することも、仕事をセーブすることも、管理職を目指すことも、サポート役として力を発揮することも、その人自身が納得して選んだのであれば、どれも一つの生き方です。

大切なのは、「何を選ぶか」以上に「誰が決めたのか」ではないでしょうか。

外野は、あなたの人生に責任を取ってくれない

周りの人はいろいろなことを言います。

「子どもがかわいそう」
「もっと働いたほうがいい」
「そんなに仕事を頑張らなくてもいい」
「せっかく働くなら正社員になったほうがいい」
「女性がそこまで前に出なくても」

けれど、その選択によって生まれる結果を引き受けるのは、周りの人ではなくあなたです。

外野は、あなたの人生に責任を取ってくれないのです。

だからこそ、自分で考え、自分で意思決定することが大切です。
周囲の意見を聞いてはいけない、ということではありません。

いろいろな人の考えを聞き、情報を集めることは必要です。

ただ、最後に決めるのは自分。

「みんながそう言うから」ではなく、

「私はどうしたいのか」
「私は何を大切にしたいのか」
「5年後、10年後、どんな自分でいたいのか」

そこまで考えたうえで、自分なりの答えを出す。
そして、一度決めた選択も、環境が変われば変えていいのだと思います。

自分の人生は、自分で選ぶ

私たちは、自分でも気づかないうちに、親の価値観、世間の常識、職場の文化、SNSで目にする「正解」に影響されています。

だから、ときどき立ち止まって問いかけてみる。
「それ、本当に私が大切にしたいこと?」

子育ても、仕事も、キャリアも誰かが決めた正解に、自分の人生を合わせる必要はありません。

自分で考えて、自分で選んで、その選択を自分の中で正解にしていく。
人生の経営者は、自分自身です。

だからこそ、大切な意思決定を誰かに委ねず、自分の人生のハンドルは、自分で握っていたいですね。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

本を読む時間は、自分との対話の時間

~コスパ・タイパだけでは測れない読書の価値~

最近は、何かを選ぶときに
「コスパがいい」
「タイパがいい」
という言葉をよく耳にします。

限られた時間やお金を有効に使うことは、もちろん大切です。

でも私は、本を読むことまでコスパやタイパで考えるのは、少し違うのではないかと思っています。

「この本を読んだら、何が得られるのか」
「何時間で読み終えられるのか」
「要約を読めば十分ではないか」
「生成AIにまとめてもらえば早いのではないか」

確かに、情報を得ることだけが目的なら、それでもいいのかもしれません。
今はインターネットで検索すれば、たくさんの情報が出てきます。
生成AIに質問すれば、知りたいことを分かりやすく整理してもらうこともできます。
だからこそ、私は思います。

本を読む価値は、情報を得ることだけではない。

むしろ、本を読みながら自分自身について考える時間にこそ、価値があるのではないでしょうか。

本を読みながら、自分と対話する

本を読んでいると、ふと手が止まることがあります。

「これは、自分にも当てはまるな」
「私はこの考え方とは少し違うかもしれない」
「そういえば、あのとき私はなぜあんな判断をしたのだろう」
「これから自分はどうしたいのだろう」

本に書いてあることを読んでいたはずなのに、いつの間にか自分自身について考えている。

私は、それが読書のおもしろさだと思っています。
本を読むことは著者との対話であると同時に自分との対話でもある。

自分は何を大切にしているのか。
どんなことに違和感を覚えるのか。
これからどう生きたいのか。

普段の生活では目の前の仕事や家事に追われて、こうしたことをゆっくり考える時間は意外とありません。ですが本を開くことで強制的に少し立ち止まることができます。

タイパが悪いからこそ意味がある

本を読んでいて、

同じページをもう一度読む。
前のページに戻る。
気になった言葉に線を引く。
本を閉じて、しばらく考える。

一見すると、どれも「タイパが悪い」行動です。

でもその時間の中で、
これまでの経験と本の内容がつながったり
自分でも気づいていなかった価値観に気づいたり
今までとは違う視点が生まれたりします。

10分で要約を聞けば分かる内容を、数時間かけて読む。
効率だけを考えれば、無駄に見えるかもしれません。

でも、人間の思考はそんなに単純ではありません。

遠回りをしながら考えるからこそ、自分の中に残るものがあります。

何冊読んだかより、何を考えたか

年間100冊。月10冊。読書量を目標にすることが悪いわけではありません。

ただ私は「何冊読んだか」よりも、一冊の本を読んで自分が何を考えたかのほうが大切だと思っています。

たった一つでも、
「明日からこれをやってみよう」
「私はこうありたい」
「これまでの考え方を少し変えてみよう」
と思えるものがあれば、その一冊には十分な価値があります。

逆に、たくさん読んでも「読んだ」という事実だけで終わってしまえば、少しもったいない。読書のゴールは、冊数を増やすことではありません。

読んだことをきっかけに、自分の考えが深まったり、行動が変わったりすること。
私はそこに意味があると思っています。

同じ本でも、読む時期によって違って見える

数年前に読んだ本をもう一度読むと、「こんなこと書いてあったかな?」と思うことありませんか?

以前は何とも思わなかった文章が、急に心に残る。
それは、本が変わったわけではありません。
自分が変わったからです。

経験が増えたり、
立場が変わったり、
悩んでいることが変わったりすると、
同じ文章から受け取るものも変わります。

だから本は、一度読んだら終わりではない。
そのとき、そのときの自分と向き合うためのものでもあるのだと思います。

効率では測れない時間を持つ

仕事では、効率化は大切です。コスパやタイパを意識したほうがいい場面もたくさんあります。
生成AIやデジタルツールも、便利なものはどんどん活用すればいいと思います。
でも、人生のすべてを効率化しなくてもいいのではないでしょうか。

本を読む
立ち止まる
考える
自分に問いかける
また読む

そうやって過ごす時間は、一見すると遠回りです。
でも、その遠回りが自分の価値観やこれからの生き方を考える時間になることがあります。

だから私は本を読むときくらい、コスパやタイパなんて気にしなくてもいいと思っています。

すぐに役に立たなくてもいい。
全部理解できなくてもいい。
読むのに時間がかかってもいい。
本を読む時間は、情報を仕入れるためだけの時間ではありません。
忙しい毎日の中で、自分自身とゆっくり対話する時間。
そんな読書の時間を、大切にしていきたいと思います。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

「努力した経験」は、大人になってからも自分を支えてくれる

最近、「非認知能力」という言葉を耳にする機会が増えました。

読み書きや計算、テストの点数など、数字で測りやすい力を「認知能力」と呼ぶのに対して、非認知能力とは、

・目標に向かって努力する
・コツコツ続ける
・自分をコントロールする
・人との約束を守る
・途中で投げ出さずに取り組む

といった点数では簡単に測ることのできない力を指します。
こうした力は大人になってから突然身につくものではありません。
私は子どもの頃からの小さな積み重ねが大切なのではないかと思っています。

「勉強を頑張ること」は、学力だけのためではない

「いい学校に入ることだけが人生の成功ではない」これは、その通りだと思います。
どこの学校を卒業したかだけで、その後の人生が決まるわけではありません。
ただ、だからといって、
「学歴なんて関係ない」
「勉強なんてできなくてもいい」
と考えるのも、少し違うのではないでしょうか。

例えば、
「この高校に入りたい」
「この大学を目指したい」
という目標を持ち、そのために毎日コツコツ勉強する。

遊びたい日もある。
なかなか成績が上がらない時もある。
模試の結果を見て落ち込むこともある。

それでも、自分で決めた目標に向かって努力を続ける。

たとえ最終的に第一志望の学校に届かなかったとしても、その過程で身につけたものまで無駄になるわけではありません。

むしろ、「目標を決めて、そこに向かって努力した経験」そのものが、その人の力になるのだと思います。

例えば、そろばん

私が分かりやすい例だと思うのが、そろばんです。
もちろん、そろばんを習えば計算が速くなるというメリットがあります。

でも、そろばんを習う価値は、それだけでしょうか。

毎週決まった日に教室へ行く。
家でも練習する。
級が上がるために練習を続ける。
思うようにできなくても、繰り返し練習し、また挑戦する。

こうした経験の中で、
「毎日少しずつ続ける」
「できるようになるまで粘り強く練習する」
「目標に向かって頑張る」
という習慣が身についていきます。

大人になれば、そろばんを使う機会はほぼありません。

でも、そろばんを通して身につけた「コツコツ努力する力」は残ります。
私は、ここに大きな意味があると思っています。

ビジネスの世界でも「当たり前のことを続けられる人」は強い

仕事をしていると、特別な才能だけで評価されるわけではないことに気づきます。

例えば、
約束した期限を守る。
時間を守る。
頼まれたことを最後までやる。
分からないことをそのままにしない。
必要な勉強を続ける。
すぐに結果が出なくても続ける。
どれも、とても地味なことです。

でも、こうしたことを当たり前に続けられる人は、周囲から少しずつ信用されていきます。

「あの人にお願いすれば、きちんとやってくれる」
「あの人は約束を守る」
「あの人なら最後まで取り組んでくれる」

ビジネスでは、この信用がとても大切です。

能力が高くても約束を守らない人より、約束したことをきちんと実行する人のほうが仕事を任せやすい。

そして信用は、一日でつくられるものではありません。
小さな行動の積み重ねによってつくられていくものです。

子どもの頃の「頑張った経験」は、将来につながっている

子どもに勉強をさせる目的を、「いい学校に入れるため」
だけにしてしまうと、少し苦しくなってしまうかもしれません。

でも、「目標に向かって努力する経験をしてほしい」
と考えると、少し見え方が変わります。

勉強でもいい。
スポーツでもいい。
音楽でもいい。

大切なのは、「最初から上手にできたか」ではなく、
少し難しいことに向き合い、コツコツ続けた経験があるかどうかです。
子どもの頃は、その価値になかなか気づかないものです。

けれど、大人になり仕事をするようになると、
努力を続けられること。
約束を守れること。
嫌になっても簡単に投げ出さないこと。
そうした力が、自分自身を助けてくれる場面がたくさんあります。

テストの点数や学歴は、その人の一部分にすぎません。
でも、何かを目指して一生懸命努力した時間は決して無駄にはならない。
そこで育った力は、目には見えなくても、その人の中に残り続けます。

だから私は、
子どもたちには「結果」だけではなく、「努力できたこと」も大切にしてほしい。

そして私たち大人も、結果だけを見るのではなく、
「毎日続けているね」
「約束を守れたね」
「最後まで頑張ったね」
そんな、数字では測れない成長にも目を向けたいですね。

子どもの頃から積み重ねてきた小さな習慣。

それがいつか、社会に出たときの「信用」や「仕事をやり抜く力」につながっていくのではないでしょうか。

国家資格キャリアコンサルタント上島美和