「なぜ社長は、あんな判断をしたのだろう?」
「自分では良い提案だと思ったのに、なぜ採用されなかったのだろう?」
「昨日と言っていることが違う気がする……」
仕事をしていると、経営者や上司の判断に疑問を感じたり、モヤモヤしたりすることはありませんか?
特に若手社員の皆さんは、まだ仕事の経験が少ない分、経営者や上司が何を考えているのか分からないことも多いと思います。
そんなとき、ぜひ意識してほしいことがあります。
それは、経営者や上司が「何を基準に判断しているのか」を知ろうとすることです。
実は、その判断軸を理解することが、自分自身の働きやすさにつながっていくのです。
自分と経営者では、見ている景色が違う
例えば、あなたが業務を効率化するために、新しいシステムの導入を提案したとします。
作業時間が短縮でき、ミスも減らせる。自分では良い提案だと思っています。
ところが、社長からは「今は導入しない」という返事。
あなたは「せっかく考えたのに」「うちの会社は新しいことに消極的だ」と感じるかもしれません。
しかし、経営者は違う視点から判断している可能性があります。
例えば、
- 導入費用に対して、どれくらいの効果が見込めるのか(いわゆる費用対効果)
- 今後の資金繰りに影響はないか
- 社員全員が使いこなせるのか
- 今、本当に優先すべき投資なのか
- 3年後、5年後の会社にとって必要なものなのか
経営者は、一つの部署や目の前の業務だけではなく、会社全体、そして会社の将来まで考えて意思決定しています。
つまり、同じ出来事を見ていても、立場によって判断するための情報や時間軸が違うのです。
もちろん、経営者の判断がいつも正しいとは限りません。
ただ、判断の背景を知ることで、これまで理解できなかったことが見えてくるかもしれません。
経営者は何を基準に判断しているのか
経営者の判断軸は、会社によっても人によっても違います。
それでも、多くの経営者が意思決定するときに考える要素があります。
一つは、社会や市場から自社に何が求められているのかということ。
そして、会社を継続させるために必要な利益、人材育成、資金繰りなどです。
また、時間軸も重要です。
目先の利益だけではなく、3年後、5年後、さらには10年後、20年後の会社を考えて判断することもあります。
一方で、経営者自身の価値観も判断に影響します。
「なぜ、この事業を始めたのか」
「どのような社会にしたいのか」
「仕事を通じて、何を実現したいのか」
こうした想いを知ることも、経営者の判断軸を理解する手掛かりになります。
判断軸を知るためには、まず話を聴くこと
では、どうすれば経営者や上司の判断軸を知ることができるのでしょうか。
私がおすすめしたいのは、まず相手の話をしっかり聴くことです。
自分と意見が違うとき、つい「でも」「それは違うのでは」と反論したくなることもあるでしょう。
もちろん、自分の意見を伝えることは大切です。
ただ、その前に、
「なぜ、そのように考えたのだろう?」
と、相手の考えに関心を持ってみてください。
相手の話を否定せず、最後まで聴く。
分からないことは、分かったふりをせずに確認する。
こうした積み重ねによって、少しずつ経営者や上司の考え方が理解できるようになります。
判断軸が分かると、仕事の進め方が変わる
経営者や上司の判断軸が分かるようになると、どのような変化が起こるでしょうか。
例えば、上司に企画を提案するとき。
以前は、自分が良いと思う理由だけを説明していたかもしれません。
しかし、上司が費用対効果を重視する人だと分かっていれば、事前に必要な数字を準備できます。
あるいは、社員の成長を大切にしている経営者であれば、その提案が社員の育成にどうつながるのかも説明できるでしょう。
つまり、相手の判断軸が分かれば、何を準備すればよいのかが見えてきます。
不要な資料を作ったり、何度も説明し直したりすることが減り、仕事を効率的に進められるようになります。
さらに、判断軸を理解していくと、次第に「この場合、上司ならどう判断するだろうか」と予測できるようになります。
最初は予測が外れることもあるでしょう。
そのときは、なぜ違ったのかを考え、また次に生かせばよいのです。
これを繰り返すことで、少しずつ自分自身で判断できることが増えていきます。
上司に一つひとつ確認しなくても、自分で考えて仕事を進められるようになる。
これは、若手社員の皆さんにとって、大きな成長ではないでしょうか。
上司を理解することは、媚びることではない
ここで、一つお伝えしておきたいことがあります。
経営者や上司の判断軸を理解することは、決して相手に媚びたり、何でも言うことを聞いたりすることではありません。
上司と部下は、組織の目標を達成するためのビジネス上のパートナーです。
上司には上司の役割があり、部下には部下の役割があります。
相手の判断軸を理解した上で、自分の意見を伝えることも大切です。
むしろ、相手が何を重視しているのかを知っているからこそ、より建設的な提案や意見交換ができるのではないでしょうか。
経営者や上司の考えを理解しながら、自分自身も考えて行動する。
そんな関係を築けたら、仕事はもっと面白くなると思います。
明日から、一つだけやってみてほしいこと
最後に、若手社員の皆さんに提案です。
明日から、経営者や上司が何かを決めたときに、
「なぜ、この判断をしたのだろう?」
と、一度考えてみてください。
そして、自分なりに判断の理由を予測してみてください。
その小さな積み重ねが、経営者や上司への理解につながります。
判断軸が分かるようになれば、仕事の見通しが立ちやすくなり、自分で判断できる場面も増えていきます。
そして、自分だけではなく、同僚への助言ができるようになれば、組織全体の働きやすさにもつながるでしょう。
経営者や上司を変えようとする前に、まず相手を知ろうとすること。
それは、自分自身の働き方を変える第一歩になると思います。