研修のゴールは「参加すること」ではなく「行動が変わること」

今は、知りたいことがあればインターネットで調べることができます。

検索すればたくさんの情報が出てきますし、AIを使えば、分からないことについてすぐに説明を受けることもできます。以前に比べれば、「知識や情報を得ること」そのものは格段に簡単になりました。

では、そんな時代に、わざわざ仕事の時間を使って社員が研修に参加する意味は何なのでしょうか。

私は、研修の価値は単に「知らなかったことを教えてもらうこと」だけではないと思っています。

研修の本当のゴールは、学んだことによって、その人の行動が変わること。
つまり、行動変容にあるのではないでしょうか。

「知っている」と「できる」は違う

例えば、
「部下の話をよく聞きましょう」
「数字を見て意思決定しましょう」
「自分で考えて行動しましょう」
こうしたことは、インターネットで調べたり、本を読んだりすれば学ぶことができます。

多くの人は、言われなくても「それは大切だ」と分かっているかもしれません。
それでも、実際の職場ではなかなかできない。なぜでしょうか。

それは、知っていることと、実際に行動できることは別だからです。

頭では理解していても、実際にやってみるとうまくいかない。

自分ではできていると思っていたけれど、他の人と一緒に取り組んで初めて、自分の考え方や行動の癖に気づく。

こうした経験は、知識を得るだけではなかなか得られません。

だからこそ、私はこれからの研修では、「何を教えるか」以上に「何を体験できるか」が重要になると考えています。

体験するから、自分ごとになる

迅技術経営では、マネジメントゲーム(MG)やキャリアストームなど、ゲームを活用した体験型研修を行っています。

例えばMGでは、参加者自身が経営者となって意思決定をします。

商品を仕入れる
設備に投資する
人を採用する
販売する

そして、自分の意思決定が会社の数字にどう影響したのかを確認します。

講師から、
「経営では利益が大切です」
「数字を見て判断しましょう」
と説明を受けるだけなら、知識として理解することはできます。

しかし、自分で意思決定をして、
「売上は上がったのに利益が残らなかった」
「もっと早く採用すればよかった」
「この投資は本当に必要だったのだろうか」
と経験すると、その言葉の意味は全く違ってきます。

自分で考え、自分で決め、その結果を自分で受け取る。
この体験があるからこそ、学びが自分ごとになります。

キャリアについても、体験しながら考える

キャリアストームも同じです。

専門職として専門性を高めるのか。
管理職として組織をまとめる道を選ぶのか。
一般社員として現場の第一線で活躍し続けるのか。

ゲームの中でさまざまな意思決定を繰り返しながら、自分自身のキャリアについて考えていきます。

「キャリアについて考えることが大切」
これも、インターネットや本から学ぶことはできます。

しかし、
実際に選択を迫られてみること。
選んだ結果を体験してみること。
そこから、自分が何を大切にしているのかに気づく。

それこそが体験型研修の価値だと思っています。

「楽しかった」で終わらせない

ただし、ゲームを使えば、それだけで良い研修になるわけではありません。

ゲームが盛り上がり、「楽しかったですね」で終わってしまえば、それは単なるイベントになってしまいます。

私たちが大切にしたいのは、その先です。

なぜ、その意思決定をしたのか。
その結果から、何に気づいたのか。
職場に戻ったら、何を変えるのか。

体験したことを振り返り、普段の仕事につなげる。
ここまであって、初めて研修の意味が生まれます。

研修後、何を変えるのか

行動変容というと、とても大きな変化を想像するかもしれません。

しかし、大きく変わる必要はありません。

例えば、
「次の会議では、自分から一度発言する」
「部下に指示を出す前に、まず話を聞いてみる」
「感覚だけではなく、数字を確認してから判断する」
「今まで避けていた仕事に一度挑戦してみる」
そんな小さな一歩でもいいと思います。

研修前と比べて、何か一つ行動が変わる。そして、その小さな変化を積み重ねていく。

それが人の成長につながり、やがて組織の変化につながっていきます。

「研修を受けた」で終わらせない

企業側も、
「今年も研修を実施した」
「管理職を研修に参加させた」
というところで満足してしまってはいないでしょうか。

研修への参加そのものが目的になってしまうと、せっかく時間と費用をかけても、十分な成果にはつながりません。

大切なのは、
研修を受けたあと社員の行動がどう変わったのか。
そこまで見ていくことです。

今は、インターネットやAIを使えば、多くの知識や情報を得られる時代です。
本を読めば、さらに深く、体系的に学ぶこともできます。
だからこそ研修では、知識を一方的に伝えるだけではなく、

体験する
考える
人と話す
振り返る
そして、職場で実践してみる

そこに価値があるのだと思います。

研修のゴールは、「知ったこと」ではなく「行動が変わったこと」。

迅技術経営では、ゲームをゲームで終わらせず、その体験を実際の仕事での行動につなげることを大切にしています。

研修を考えるとき、「何を学ぶか」だけではなく、
「研修後、社員にどんな行動をしてほしいのか」
そこから考えてみることが、人材育成の第一歩なのではないでしょうか。

迅技術経営のセミナーページ

国家資格キャリアコンサルタント上島美和

投稿者:

ueshima

国家資格キャリアコンサルタント (株)迅技術経営