中小企業診断士の西井克己です。
生産改善の支援をしているとふと気づくことがあります。
製造業の作業標準時間の設定が各企業でバラバラである程度の規模でも標準時間がないところがある。
小規模になるとないのが当たりまえ。
こんな感じで作業の標準時間の設定はできていない会社が多いのですが、本来製造業にとっては作業標準時間の設定は言うまでもなく大切です。
今回はその作業標準時間の設定方法について記事を書いてみました。
この記事の内容は
1 どの時間が標準?
2 標準時間には標準の手順書が必要?
3 社内で標準となる人を定めよう。
4 標準となる人には、標準となる作業速度を体感してもらおう
5 トランプを活用して標準となる作業時間の体感をしていただいた方に作業をしてもらい動画で撮影する
の構成になっておりますのでよろしくお願い申し上げます。
1 どの時間が標準?
製造業で原価計算をするときに、作業標準時間や実績の時間を教えてください。
そうお願いすることがあります。
10人以下の従業員規模の会社は、作業標準時間も実績の時間もほぼないことが多いです(実績は日報を付けていないのでわからない)。
それでは、見積をするときには、予定時間を計算して見積もりをされると思うのですが、予定時間はありますよね。
と伺うと、ほぼ指値なので、あまり作っても意味がないので作っていない。
もしくは、社内で一番早い人がやったと想定して、時間を設定してそれでも合わないようなら受注を断っている。
ということが多いです。
中小規模の製造業では、良品を納期どおりに製造することでいっぱいで、どれだけかかったかの実績時間も実際は取れていないことがほとんどです。
また、見積の時に試算した時間と、実際にかかった時間を比較することをしている中小規模の製造業は、私の経験上は少ないと言えます。
すなわち、標準時間はどのくらいですかと私が質問した時に、明確な答えが返ってくることは結構少ないです。
2 作業の標準時間には標準の手順書が必要?
作業の標準時間を設定するときには、その工程のマニュアル(手順書)が必要ではないか?そんな質問を受けることがあります。
確かに、標準の手順があって、その時間が設定できると素晴らしいです。しかし、私は、これまで実績時間も把握していない現場に、標準の手順と時間をいきなり設定できることは少ないと考えています。
3 社内で標準となる人を定めよう。
そこで、これまで実績の時間も把握できていない会社さんには、まず社内で標準時間となってくれる人の選定をお願いししています。
どんな人がいいですか?と聞かれるのですが。
新人で明らかに手の遅い人以外は誰でも大丈夫です。
ただし、ある程度の中堅で、今後退職の可能性が少ない方をお願いします。と回答しています。
4 標準となる人には、標準となる作業速度を体感してもらおう
標準の人を決めたら、その人に作業をやってもらって、その様子を動画で撮って時間を観測する。
すぐにそうはなりません。
その方に、標準となる作業時間を体感してもらいその速度で作業をやってもらう必要があります。
その速度の体感方法とは、以下のように一辺30㎝の台紙を4分割した紙を用意します。
その台紙に52枚のトランプを4方向に配る
(左上、右上、右下、左下、左上・・・・を繰り返す)
これを30秒で行うのがいわゆる標準となる作業時間となります。
5 トランプを活用して標準となる作業時間の体感をしていただいた方に作業をしてもらい動画で撮影する
標準となる人に標準となる作業時間の体感をした頂いた方に対象製品を製造してもらいその様子を動画で撮影しましょう。
できれば5回程度撮影し、最も速度が速いものと最も速度の遅いものを省き、3つのデータの平均をその工程の標準時間と設定します。
実際は難しいこともたくさんありますが、
標準となる人を定めて、に標準となる作業時間の体感してもらって、動画で撮影する。
それだけで標準時間は設定できます。
全部一気にやろうと思うととても大変なので、まずは主要品目からやってみませんか?
中小企業診断士西井克己が経営している迅技術経営(中小企業診断士4名、社会保険労務士1名)では、現場改善の相談も受けております。毎週土曜日は相談を受け付けております。遠方の方を対象に最近はスカイプで初期相談もしておりますので、お気軽に問い合わせください。