中小企業診断士の西井克己です。
1 工場(現場の整理整頓)はものをいわぬ営業マン
製造業で現場改善や生産技術者を育成しようとしている会社は少なくありません。でもそれを達成している会社は多くはありません。
製造業の現場を見てほしい、改善してほしいという要望はありますが、私自身は私のアイデアで現場改善することは多くありません。
それはその会社の現場をよく知らない私のアイデアではなく、現場をよく知る社員さんのアイデアで現場を改善する必要があるからです。
現場改善と言えば何か即効性があることを期待する方も少なくありません。しかし現場改善こそ1歩1歩前に、継続して進んでいかなくては社内に定着しません。
それこそが中小企業の製造業で現場改善や生産技術者が育成できていない最大の要因と考えております。
そんな中でいつも思うのが整理整頓は製造業の基本であり、できていなければまず着手するべきテーマであると言えます。
2S(現場の整理整頓)は即効性はありませんが、
製造業におけるいい会社は、「明るく、きれいで、あいさつができる」という共通点を持っています。
2S(現場の整理整頓)は、お客様が工場視察に来られた時に、どんな敏腕営業マンにも勝る、ものを言わぬ営業マンです。
工場現場の皆さんの力で、工場を物を言わぬ最強の営業マンに成長させましょう。
2 工場より先に事務所の整理整頓を徹底しよう
私は、製造業の2S診断をする時、工場を見るより前に事務所を見ることが多いです。
それは、まず事務所に通されることが多いこともありますが、事務所の整理整頓ができていないと工場の整理整頓が定着しないためです。
基本的には、私は、事務所は工場よりも整理整頓のレベルが高い必要があると考えいてます。
なぜならば、工場で働いている方は、事務所の整理整頓が自分達よりもできていないと必ず「なぜ自分達だけやらされているのだろう」という思いになるからです。
ですから、事務所は、工場現場の見本になるように徹底して整理整頓を実施する必要があります。
事務所の整理整頓はまず書類と文房具からです。文房具は、以下のように姿絵置きをすることを原則とします。
これをすることでまず文房具そのものの数がなくなりますし、机の中に不要なものを置けなくなります。
また、書類に関しても以下のように山型管理をしています。
これにより、ファイルを取り出しても必ず元の位置に戻すようになります。
まずこの2つが事務所の整理整頓の基本です。
全ての書類を山型管理し、すべての文房具を姿絵置きにすることがまず第一ステップとなります。
全ての文房具を姿絵置きにしたとしても、机の中で空きスペースがあって時間がたつと、姿絵置きしていない文房具がいつのまにか増えていることが多いです。
まずは、姿絵置きしないと事務所に文房具はおけない。そんな意識付けが大事です。
新しい文房具や備品を置くことはありますが、めんどくさがらずに必要なものであれば必ず姿絵置きとすることを徹底する。これが大事です。
2Sを徹底する前からの社員さんはこの意識付けからですが、整理整頓を徹底した後に入社された社員さんは、違和感なくそれを徹底してくれます。10年以上たてば、会社では姿絵置きしないものはおけないという社内文化になります。ここまで徹底して継続する前に、整理整頓は終わったと思って次のテーマに行ってしまう会社が多いです、少なくとも整理整頓を徹底できる社員が5割以上になってから他のテーマに移行することをお勧めします。
山型管理や姿絵置きが徹底できた事務所は、さらに使い勝手の良いアイデアを出していきます。
例えば、掃除しやすいようにゴミ箱はすべてキャスター付きにする。
(下の図は100円ショップの園芸コーナーで200円で売っているキャスターを活用したものです)。
ティッシュを机の上に置くのではなく、机の下にマグネットでつける。
(これも100円ショップのマグネットと両面ファスナーを利用しております)
など、その会社その会社で山型管理や姿絵置きの基本をベースにその会社ならではのアイデアで整理整頓を進めていきましょう。
3 事務所が整理整頓を実施するようになると、工場も少し協力していただけるようになります。
工場で整理整頓をするためには最初は赤札作戦です。
赤札作戦は、以下のような赤札を不要物と思われるものに貼っていきます。
赤札の記入方法は一般的には以下の通りです。
記入にあたっては、担当者自ら記入をするとなると、大きな効果が期待できない。
<5つの鉄則>
①当事者には決して貼らせない
②現場の言い訳に耳を貸さない
③心を鬼にして対処すること
④判断の迷う「分からない」ものは赤札を付ける
⑤枚数も実力のうちと考える
そして、赤札を貼られたものを一時的におく仮置き場を設定します。
その仮置き場から、必要なものは取り戻す期間を設け、それ以降は不要物と捉え、捨てる。
この活動を少なくとも1年に2回(盆と正月)を2-3年実施することで、不要物がどんどんなくなっていきます。
その不要物をなくすことが工場の整理整頓の第一歩です。
実際はこの活動を定着させることが本当に難しいと感じています。
ただし、定着すると製造業におけるいい会社「明るく、きれいで、あいさつができる」に1歩1歩近づくことができます。
中小企業診断士西井克己が経営している迅技術経営(中小企業診断士4名、社会保険労務士1名)では、現場改善の相談も受けております。毎週土曜日は相談を受け付けております。遠方の方を対象に最近はスカイプで初期相談もしておりますので、お気軽に問い合わせください。
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