中小企業診断士の西井克己です。
今日も前回に引き続き、中小企業におけるお客様に安心して任せていただけるための品質管理体制について記事にしてみたいと思います。
私が提案している項目は、以下の14の項目であることが多いです。
1 製品リスト
2 QC工程表
3 作業標準
4 原料受け入れ
5 始業点検記録
6 保全記録
7 検査記録
8 計測記録校正
9 在庫記録
10出荷記録
11不良記録
12クレーム対策書
13教育記録
14スキル管理表
前回はQC工程表について記載いたしました。
今回は、不良記録及びクレーム対策書について説明したいと思います。
不良記録について(社内不良の記録をつけていますか?)
不良記録をつけていますかと言えば、どんな会社でも記録はありますと言われます。
その記録をみせてくださいというと、ほとんどが社外流出の不良の記録です。
その際に、社外流出していない社内でとどまった不良の記録がありますか?と言えばほとんどの会社がありませんと言われます。
不良記録は、社外に流出したものだけを記録するのではなく、社外流出した背景にある社内不良を記録する必要があります。
ハインリッヒの法則にもあるように重傷災害をなくすためには、ヒヤリハットをなくさなくてはなくなりません。
どんな記録を取ればいいかと言えば、現在の記録のフォーマットをそのままにして社内不良の記録をカウントして以下のような表を付けていくことをお勧めしています。
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | |
社外流出不良 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 |
社内不良 | 10 | 20 | 20 | 30 | 15 |
ここで実際に難しいのは、それまで社外不良しか記録していない会社が、社内不良を記録しようとしても報告してくれないことがほとんどです。
現場員にハインリッヒの法則を説明し、なぜ社内不良を申告しなければいけないのか(自分で気づいて検査して不良が発生していたものを自分で解決した不良も申告してくださいとお願いすることがポイントです)その目的を説明することが大切です。
休業災害を減らすためには、不休災害を減らし、その背景にあるヒヤリハットを減らす。この考え方と同じように不良も考える必要があります。
クレーム対策書について
クレーム対策書については、いろいろなフォーマットがあります。
私も様々なフォーマットを見ております。
クレーム対策書を拝見した時に、どんなフォーマットがいいですか?と問われれることが多いです。その際にはどんなフォーマットでもいいです。今お使いのフォーマットで十分です。と回答することがほとんどです。
しかし、その内容については、1つだけお願いしていることがあります。
それは、クレーム処理について、○○に気をつけるという再発防止策をやめる。ことです。
クレーム対策書を拝見すると、表現方法の違いはあれど結局は、今度から気を付けますという対策になっていることがほとんどです。
これでは、そのクレームはもう一度起きてしまう(その人がおこさなくても、人が変わってしまったら起きてしまう)。
クレーム対策の際に気を付けるという結論をやめてくださいと言ってもなかなか現場に通じないことが多いです。
不良を出した本人からすると、自分から謝って、次から気を付けると言っているのにこれ以上何を求めるのか?という感情論になることが多いです。
このため、このクレーム対策については、どんな小さい会社でも、最終決定権者が直接現場員と対応するのではなく、必ずだれかを間に挟んで対応することが大事です。
そしてその間に入ってくれた方が、○○○に気を付けるという報告書が上がってきた場合は、その際に直接説明し、気を付けなくていい対策を一緒に考えていく。
これが、遠回りのようですが最も近道であるとつたない経験の中で感じております。
製造業にとってクレームはピンチでありチャンスである。
その機会を前向きにとらえて成長していきたいものです。
中小企業診断士西井克己が経営している迅技術経営(中小企業診断士4名、社会保険労務士1名)では、現場改善の相談も受けております。毎週土曜日は相談を受け付けております。遠方の方を対象に最近はスカイプで初期相談もしておりますので、お気軽に問い合わせください。
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