「最低賃金」引上げ。でも給与を上げない選択をする人

2022年9月29日 0 投稿者: srhayate

こんにちは。迅社会保険労務士事務所の小松巧です。
最低賃金の引上げが正式に決まり、過去最高水準の引き上げとなりました。石川県では最低賃金が891円で30円アップ。実質900円になったようなものです。
最低賃金の引上げで実際に給与が増えるのでしょうか。実は働いている従業員が自ら「給与を上げない」選択をしているケースが起きています。
それは、扶養の範囲内で働いているパート社員の方々です。最低賃金の引上げにより時給は上がりますが、「年収130万円」の壁は変わらないため、これまで通りの時間で働いていると扶養から外れてしまい、社会保険料を負担しなければならなくなります。社会保険料の負担は毎月概ね16,000円。対して時給が30円アップしたときの給与アップは1カ月当たり概ね3,800円ですので、家計全体では毎月1万円以上の減額。年間12万円以上も収入が減ってしまいます。ですので、休日を増やすか労働時間を減らして給与を上げないようにしてくださいと言われている企業がたくさん存在しているのが現状です。国は「賃金アップ」を謳って最低賃金を最高水準で引き上げましたが、社会保険など他の制度とつながった政策になっていないため、働く意欲をそぎ、給与が上がらない仕組みになってしまっています。賃金アップを企業に強制するだけでなく、生活に関わる制度全体を見て法律作りをしてほしいものです。