社会学の根本概念 マックス・ヴェーバー著、清水幾太郎訳 岩波文庫

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自己努力と相手を慮ること双方を満足する士業を育成する仕組みを作り後世に残すことを目指す中小企業診断士西井克己です。

社会学の根本概念 マックス・ヴェーバー著、清水幾太郎訳 岩波文庫 を読みました。

自然科学を学んだ自分にとってどうも社会科学は腹に落ちないことが多く、

マックス・ヴェーバーがその死に先立って社会学上の重要な諸概念を定義的に明らかにしようと試みた論文の翻訳ということで読んでみました。

引用開始

行為及び社会的行為の定義

8ページ

そして、「行為」とは、単数或いは複数の行為者が主観的に相見を含ませている限りの人間行動を指し、活動が外的であろうと、内的であろう度、放置であろうと、我慢であろうとそれは問うところではない。しかし、「社会的」行為という場合は、単数或いは複数の行為者の考えている意味が他の人々の行動と関係を持ち、その過程がこれに左右されるような行為を指す。

36ページ

黙祷や孤独の祈りのような宗教的行動は社会的行為ではない。或る個人の経済的行為は第三者の行動を考慮している場合に限りにおいてのみ社会的行為である。それゆえ、極く一般的且つ形式的に言えば、財に対する自分の現実的な支配権を第3者が尊重してくれると期待する場合に、経済的行為は社会的行為になる。実質的に言えば、例えば、消費する時、第3者の将来の需要をも考えて、それに従って自分が節約すれば社会的行為である。また、生産する時、第3者の将来の需要に基づいて行為の方向を決めれば社会的行為である。

経験科学と規範科学の定義

社会学や歴史学のような、行為を研究する経験科学と、法律学、論理学、倫理学、美学のようなそれの対象の正しい意味や妥当性を有する意味を研究しようとする一切の規範科学との相違がある。

社会的行為の種類

すべての行為と同じように、社会的行為も、次の4つの種類に区別することができる。

(一)目的合理的行為。これは、外界の事物の行動および他の人間の行動について或る予想を持ち、この予想を結果として合理的に追及され考慮される自分の目的のためにジョウけにゃ手段として利用するような行為である。

(二)価値合理的行為。これは、ある行動の独自の絶対的価値 論理的、美的、宗教的、その他のーそのものへの結果を度外視した、意識的な進行による行為である。

(三)感情的、特にエモーショナルな行為。これは直接の感情や気分による行為である。

(四)伝統的行為。身についた習慣による行為である。


引用終了

 この系統の本は自分にとっては読みにくいことが多いのですが、定義づけを丁寧にしてあり、全体的にとても読みやすかったです。

 また、結構自分の中でも納得できるところが多かったです。

 その理由は、訳者のことばを見るとなるほどと思うところがありました。

 この本の本質を2点あげておられ1つは、個人の行為が中心的な地位を占めていること、1つは、目的合理的行為に特殊な重要性が認められている。

引用開始

 言うまでもなく、現実の人間の行為は、多くの非合理性を含んで成り立っている。したがって純粋な目的合理的行為というのは、観念的に構成されたものであり、その意味で非現実的なものである。しかし、この非現実的なものー「理想型」-を尺度とし、それとの距離を明らかにすることを通じて、私たちは現実の行為の理解へ近づくことができる。

引用終了

 自然科学の世界でも、完全理想の世界を作り出すことは難しい。しかし論理を組み立てるときには、純粋な状況をまず考えその時にどのようなことが発生するのか考え、それを基に現実に起きた現象を理解しようとする。

 その考え方を、社会科学にも理想的な世界を考えたうえで、現実の現象を考えるこの考え方がこの本の本質があったためとても読みやすかったのだと思いました。

 なかなか難しいですが、すべての行動が、この本で定義されている「社会的」行為になるように努めていきたいと思います。

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